「脳死はすべて死」めざす法案
―深まりゆく生命操作社会―
「脳死・臓器移植法案」の改正素案が自民党でまとめられ、一月国会に提出される予定。主な改正点は、現行法では、移植のための臓器提供をする場合に限って脳死を「死」としているのを、脳死はすべて「死」とする。本人が生前に提供を承諾していた場合だけだったのを、提供を拒否していない限り、遺族の同意だけで提供できる。臓器摘出は15才以上だったのを年齢制限をなくした、等。(12・18 読売)
'97年に脳死・臓器移植法が成立して以降、脳死・臓器移植は26例行われた。改正案はもっと数を増やそうという意図で作られた。
現行法が作られる前に議論された内容を反故にするような案である。
すでに行われた26例も、臓器摘出が優先され、ドナーとなった人の治療が充分に行われたかが何例かで問題になっている。プライバシーの名の下に情報がおさえられ密室化の傾向がだんだん強くなり、充分な検証がされているとはいえない。
子どもの脳死状態も、まだまだわからないことが多く、18年以上脳死状態が続き、身長ものび成長している例も報告されている。
臓器摘出の現場となる救急医療の場でも、厚労相の調査報告によると、全国の救命センターに運ばれた患者の4割は適切な治療をしていれば助けることができた可能性があるという。(10・12 埼玉)
ひん死の人が充分な手当をされないまま切り捨てられ、臓器摘出のドナーとなる可能性が日常的にある。
改正案が出たのを機に、もう一度「脳死・臓器提供」をじっくり考えてみることが大切だ。
職場参加を考える会(鈴木操会長)は12月17日板川越谷市長と会見し、就労支援センターの設立を要請した。