小さな新聞11月号(月刊わらじ連載)


「基準値」信仰 統制
厚労省が40才以上の健診義務化方針

 厚労省は、40才以上全員の健診を義務化する方針。「生活習慣病の予備軍」を見つけて、保健指導などをし、将来の医療費の削減を目的とする。具体的には、肥満、高血圧、高コレステロール、高血糖の人。(10・20埼玉)
 ところで、肥満、血圧、コレステロール、血糖の値は、基準値が数値で示されているので科学的な根拠があると、ほとんどの人が思いこんでいるが、この数値には確たる根拠がない。
 ここ数年で、これらの基準値はよりきびしくなった。血圧は、以前は160/95以上が高血圧とされていたものが140/90に、コレステロール値は、250mg/dl以上が高コレステロール血症とされていたものが220mg/dlに、血糖値は、空腹時140mg/dl以上とされていたものが126mg/dlにという具合に。基準がきびしくなったことで、病気または予備軍とされる人の数は、一挙に2000万人位増加する。
 これらの値を基準値内にすると、ほんとうに病気にならないのか?
 コレステロール値が高いと心筋梗塞や脳梗塞をおこしやすいとか、高すぎるということばかりが問題にされているが、逆に低すぎると脳出血やガン等による死亡がふえ、結局コレステロール値が低いグループの方が死亡率がふえ、高いグループの方が死亡率が低いという欧米や日本での調査報告がある。肥満にしても、やや太り気味の方が長生きするという統計がある。
 肥満も血圧もコレステロールも血糖も遺伝的な要素がありそれぞれがどのように関連しあって病気になるかということすらわかっていないのが現状だ。
 検査によってつくり出される無症状の「病気」は医療費の削減どころか、増加をきたすだろう。