小さな新聞12月号(月刊わらじ連載)


ワクチン信仰が煽られている
疫学調査で有効性否定――

 インフルエンザの季節到来で、毎日のようにニュースが流れている。厚労省はじめマスコミこぞって「予防にはワクチンが唯一の手当て」「ワクチンは重症化による死亡を防ぐ効果がある」とあおっている。(11・20読売)ほんとうにそうなのか。
 94年予防接種法が改正され、学校での集団接種が廃止となった。これはワクチンの副作用による子どもの死亡や障害が出たことを契機に、前橋市を中心にした6年間にわたる大規模な疫学調査で、「ワクチンの接種地域と非接種地域で、インフルエンザの罹患率・超過死亡などに違いは認められなかった」という結論が出たことが反映されている。
 ところがワクチンは有効というデータの裏づけもないまま、94年には30万本にまで落ちこんでいたワクチン生産量が10年後には2千万本にまで復活したのだ。01年には予防接種法が改訂され、65才以上の高齢者には費用の一部が公的負担され、ワクチン接種が加速された。
 予防接種をうけたけれど、インフルエンザになってしまったという人は多い。日本臨床内科医会インフルエンザ研究会の調査によると、ワクチンの有効率は、年々下ってきて、04年度では、65才以上の人では18%、全年齢では25%。なんと、予防接種をうけた4人に3人はインフルエンザにかかっている。
 「高齢者はインフルエンザにかかりやすく、流行した年は高齢者の死亡が増える」という説も、「ワクチンで、インフルエンザによる脳炎・脳症を防ぐことができる」というのも疫学的根拠はない。厚労省の見解は、裏付けはないのだ。
 ところで、ワクチンによる利益は、年間400億円。任意接種で副作用の責任があいまいとなり、製薬業界等にとっては甘い市場だ。