小さな新聞1月号(月刊わらじ連載)


「タミフル」日本だけで流行る薬

 インフルエンザの「治療薬」のタミフルを服用した日本人の子どもで死亡例が相次いでいると米食品医薬品局(FDA)が報告した。2000年以降12人。日本ではこのほか、異常行動などの神経精神医学的症状が31件(各国全体で32件)、薬疹や重い皮膚の異常が11件(同12件)報告された。(11・18読売)
 これに対し厚労省は「タミフルとの因果関係は不明だが、仮に副作用としても特に多いとは言えない」「今まで通りにタミフルを使用してほしい」と呼びかけている。(11・19読売)
 この後もタミフルを服用した大人の死亡例2例が報道された。(12・16読売)
 タミフルの添付文書には、先に挙げられた事項が副作用として書かれており、販売元の製薬会社は、「乳児には使わないように」と注意している。
 それにもかかわらず、厚労省インフルエンザ研究班長は「乳幼児のインフルエンザは症状が重くなるためタミフルを使うべき」という姿勢だ。(11・19読売)
 そもそもタミフルはインフルエンザの唯一の治療薬といわれているが、感染を抑えるのでなくウィルスの増殖を抑えて、高熱が一日早く下るだけ。インフルエンザは潜伏期間が1〜2日で、放っておいても4〜5日で症状は消える。その上、日本の研究では3才までの子どもの場合、3人に1人の割合で服用中にタミフルが効かないウィルスに変化している。
 日本では年間800万人から1000万人の人がタミフルを使用し、これは世界の総生産量の7割にあたるという。こんな薬の使い方は異常ではないのか。副作用や耐性ウィルス危険をおかしてまでのむ必要があるのだろうか。
 熱がでたらゆっくり休養をとって自然になおすということが大切ではないか。インフルエンザは「かぜ」なのだから。