小さな新聞5月号(月刊わらじ連載)


また「病気」が増やされる,
厚労省「メタボリックシンドローム」調査

 脳卒中や心筋梗塞などの引き金になると、「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)j」という新しい病気の調査を厚労省が行った。40才から74才までの男性では二人に一人が病気かその予備軍という結果が出た。「重大な結果で、原因となる不健康な生活習慣を改善するよう」と厚労省。(5/9埼玉)
 そもそも二人に一人が「病気かその予備軍」というとんでもない結果がでた場合、その調査の基になる診断基準がおかしいのではないかと疑う必要がある。
 この診断基準は、ウエストが男性85cm以上、女性90cm以上で、血圧・血糖・血中脂質のうち2項目の数値が高い場合を同症候群(有病)、一つが高い場合を予備軍とした。
 血圧に関していえば、従来、最高血圧160、最低血圧95以上の人を高血圧としていたのを、2000年にそれぞれ140、90以上の人を高血圧とした。基準がかわったことで、それまでは正常とされていた人が一挙に倍以上の人が高血圧と診断された。今回の厚労省の診断基準では、それぞれ130、85以上を高血圧と定義しているので、とてつもない数の人が高血圧としてくくり出される。
 高齢になると、身体にとって必要だから血圧が高くなる側面もあり、高齢者では血圧が高い方が長生きができ、血圧を下げると寿命が縮むというデータもある。血圧を下げれば病気にならず長生きができるという根拠はない。
 血糖・血中脂肪についても同じようなことがいえる。
 以前より正常範囲がきびしくなっているので「異常」とくくり出される人が多くなっている。
 病気という自覚症状がなく、数値が正常範囲ではないということで「病気」といわれる人達が増えている。「大変だ」とさわぎたてる前に「ほんとうに大変なのか」を検証することが大切である。