小さな新聞9月号(月刊わらじ連載)


深まる分離社会
ネットワーク総合県交渉 支援策焼石に水

 8月30・31日の二日間、埼玉障害者市民ネットワークと埼玉県各部局の県交渉が行われた。県は、建築指導課、子ども安全課、健康づくり支援課、雇用対策課、教育局、障害者福祉課等。ネットワークの要望と一番かけはなれたのは、教育局と雇用対策課。
 「盲・聾・養護学校への入学者がふえているのは、“共に学ぶ”ということと逆行しているのではないか」という質問には「そこがもっともふさわしいから」という回答。'03年から始まった特別支援教育は、特殊教育ではなく、ふつうの教育の中に特別な支援を持ち込むというふれこみだが……。
 「養護学校から地域の学校で一緒に学ぶための支援籍。平均年に6〜7回。」という支援籍の現実が明らかになった。
 「養護学校義務化が始まって四半世紀。その間に養護学校高等部がふえ、卒業後福祉施設へ行く人が増え、就職する人は半数に減ってしまっている事実がある。自立のための特殊教育というが、何をもって自立というのか。」とわらじの会の山下さん。養護学校卒業生からは、「計算や字も教えてもらえなかった。普通の学校で勉強したかった。」と新座市の大畑さん。「作業班と勉強班に分れていて、作業班に入れられて、漢字もわからない」とわらじの会の森住さん。「普通学級で、修学旅行の付そいを求められ、断ったら、修学旅行に行けなかった」とさいたま市の親。通常学級に在籍する障害のある子どもへの配慮はおきざりにされたままの現状もうきぼりにされた。
 雇用対策課は、「働く意欲と能力のある人が企業で働けるように」と、能力と適性を強調。
 「自立と支援」の名の下、ますます分け隔てられていく現状がうきぼりになり、問題が山づみで残された県交渉だった。