小さな新聞11月号(月刊わらじ連載)


タミフル被害かくし
――厚労省は何を守りたいのか

 抗インフルエンザウィルス薬のタミフルの服用者が異常行動で死亡したりしているが、「小児のタミフル服用と異常行動の関連性は認められなかった」と厚労省が発表。(10・30朝日)
 '01年にタミフルが販売されてから5年間のうちに、異常行動などで死亡した16才以下の子どもは15人。インフルエンザにかかり睡眠中に突然死した3才以下の幼児は5人。そのうち4人はタミフルをのんでいた。年長児の例は、マンションの9階から飛びおりて死亡、ある高校生は、雪の中を家からかけ出しガードレールを越え国道に出てトラックにあたり死亡した例等。
 これらは、すべてタミフルの副作用とは認められていない。薬をのまないインフルエンザの自然経過でこのようなことがおこるはずはない。
 厚労省は、インフルエンザは脳症をおこすと恐怖をあおりたて、今や世界の総消費量の8割を日本で使っている。そしてタミフルの副作用をやっきになって否定している。
 タミフルを使わない医者は、きわめて少数派だ。「インフルエンザだといってタミフルを処方しないで帰したら、後で親からひどい剣幕で電話がかかってきてね。」と都内の内科医。「市内でタミフルによる事故があったため、今年は使わないと医師会で申しあわせた。事故でもないと使わないということにはならないんだから。」と小児科医。
 人間には免疫をたちあげる力があるから、高熱が出たとしても三、四日位でおさまる。タミフルをのんだとしても、それが一,二日短くなる位だ。
 自然に治る病気に薬をすすめて被害を出し、それでも関係ないという厚労省は、いったい誰の立場を守ろうというのだろうか。