小さな新聞10月号(月刊わらじ連載)


子どもに服ませる前に
リタリン 学校の集団管理の道具?

 向精神薬「リタリン」の使用が大巾に制限されることになった。難治性うつ病、ナルコレプシー(過眠症)に保険適用されていたが、ナルコレプシーだけに適用が制限された。処方できる医師を限定するという。麻薬並みの扱いになる。(10/3朝日)
 リタリンは中枢神経に作用して覚せい効果をもたらす。薬物依存をはじめ、深刻な副作用では突然死があるといわれている薬。今回は製薬会社が申し出て、厚労省が対策をとった。
 ところでこのリタリンは、子どものADHD(注意欠陥・多動性障害)に広く使われている。ADHDに対する保険適用がないため、どの位の数の子が服用しているか実態が表面に浮かんでこない。
 リタリンは服用後20分程で効き、三‐五時間効果が持続する。リタリンの服用で多動や衝動性、不注意が改善されるという。リタリンをADHDの子に服ませる理由としては、トラブルメーカーとしていつも怒られ続けたりした結果、自分を価値のない子どもと思ってしまうのを防ぐのだと「その子のため」ということが強調されている。が、たいていは学校に行くために服んでいる。夏休みなど学校が休みの時は服まないことが多い。このことは、学校という集団の管理が優先する場所で薬が必要とされているということを示している。
 リタリンに効果があるといっても、それを評価するのは当の子どもではなくまわりにいる大人だ。
 子どもにリタリンを長期にわたり服ませた場合の結果や、将来的におきるかも知れない副作用はわかっていない。
 「薬を服んだ時にだけトラブルを回避でき、評価される」という関係をこそ変えていくことが大切ではないか。