小さな新聞2月号(月刊わらじ連載)


「措置願」が選抜材料に
しかし点数主義強化の入試改革

 県公立高校入学者選抜実施要項が2010年度からかわると暫定案が出された。
 その改革案の中に「障害のある受験生に対する配慮事項及び配慮が必要な場合の手続」がもり込まれた。障害がある子の受験が公立高校受験制度の中にはじめて正式に組み込まれたことは意義がある。
 障害のある本人・保護者から受験に関する「措置願」が出されたら、それを選抜で点数化して用いる。ただし点数化といってもどれだけの重みを持たせるかはすべて高校長しだい。各校がどんな選抜基準をつくるかにかかっている。定員内不合格を出さない規定もない。
 全体としては点数による序列化がいっそう進む入試制度改革の中で、障害児を受け入れるという気持ちや環境整備がなければ、制度をいかすことはできないだろう。


想――現代の姥捨

 後期高齢者医療制度が4月に始まる。75才以上の人と65才〜74才以上の寝たきりの人が対象。保険料は加入者全員が個人単位で払う。年金からの天引きが始まる。目的は医療費の削減。
 介護保険も「介護の社会化」ともいわれているが、実際は医療保険の中で高齢者の医療費がふくらんだためつくられた。かなりの部分が介護保険に移ったが、今度はその介護保険が破綻をきたしそうだというので、75才以上の人の医療費の負担を増そうという。
 この間、窓口で支払う自己負担もふえた。入院日数制限も、リハビリ回数も制限をつけられた。
 高齢であるということは、身体の不便さや病気とともに生きるということでもある。生きていくために必要な医療的ケアや手術の回数もふえる。
 高齢者が不良債権扱いされ、長生きするには自己責任をせまられる社会。貧乏人は死ねということに等しい。