小さな新聞6月号(月刊わらじ連載)


予防接種は誰のため?
厚労省・ワクチン定期接種推進

 厚生労働省は、Hib、肺炎球菌、子宮頚がんのワクチンを公的な予防接種に追加することに決めた。(5・17読売) 子どもの髄膜炎や子宮頚がんを予防するという理由。1200億円が必要という。予防といえば聞こえは良いが本当にそうなのか。
 「Hibワクチン定期接種化の費用効用分析」(東大公共政策大学院2007年)という報告書がある。「Hibワクチンを定期接種すべきとはいえない」と結論づけている。費用対効果があまりにも少ないというわけだ。Hibは細菌性髄膜炎や肺炎などを引き起こす細菌で、病気になった人の5%が死亡し、25%に後遺症が残るとされている。患者のほとんどが5歳未満、多くは4ヶ月〜18ヶ月の乳幼児である。日本は欧米と比べ罹患率が低く乳幼児13000人に一人、0.0076%。日本の5歳未満の子どもの数は約530万人。年間402人の子がHibによる髄膜炎になる。Hibワクチンは4回うち、一回あたりの接種料金は6000円。たしかにものすごく効率が悪い。
 Hibや肺炎球菌のワクチンでほとんどの髄膜炎が防げるように言われているが、細菌性髄膜炎をおこす菌の半数が不明なのである。わかったものの大部分がHibや肺炎球菌と言うにすぎない。症状が出た時に適切な処置ができれば回復することがほとんどだが、耐性菌や医療体制等の問題もあり不幸なことになることがある。でも生まれて間もなくの乳幼児すべてに4回もうたなければならないワクチンなのだろうか。おまけにHibは誰の喉にもいる常在菌なのである。自前で菌に対する抗体をつくる力が弱って、ワクチンなしには生きられないようになっていくのではないか。
 定期接種になる他のワクチンにも同じようなことがいえる。予防しないと髄膜炎になる、ガンになるという脅かしが効いて、効果があるのか、安全なのかという検証抜きにワクチンを打ちまくってよいのだろうか。