小さな新聞2013年09月号(月刊わらじ連載)


地域感覚忘れた 県の位置浮彫り
障害者市民ネットワーク・総合県交渉

 8月29・30日、2013年の総合県交渉が行われた。埼玉県障害者市民ネットワーク主催のこの交渉は、26回目。県内各地から集まった140人が、特別支援教育課、義務教育指導課、少子政策課、疾病対策課、人事課、就業支援課、障害者支援課など各課にわたって交渉した。
 「障害児・者の福祉施設等の整備」について、県は入所施設の創設をあげているが、この項に「真に施設を必要とする障害者」という文言がある。「どのような人か」という質問に対して、「自傷・他傷・パニックなどの強度行動障害・重複障害者を想定している。地域で暮らしたいという人を入所させるわけではない」と信じられないような回答。取り消してほしいという発言にも「課全体の見解」というばかり。障害者支援課は、何についても“国に要望”とか“市町村に助言の際話す”とハンで押したような答え。
 制度が細かく整備されることによって、行政を担う人とのズレが大きくなり、地域の学校に行くことや、地域で生活し続けることを伝える大切さが浮かび上がった県交渉だった。


 夏の終わりの休日、入院している人たちを訪ね病院めぐりをした。K君は、母の入院で生活環境が急変し、てんかんの重積発作をおこし入院。入院中に誤嚥性肺炎の予防のためにという理由で胃ろうとなった。ラーメンをうまそうにすすり、コーラをごくごく飲む普段のK君を知らない医師の勧めである。シャバが遠くなったK君は転院した病院で退屈そうにしていた。K君の母は別の病院に入院中。その上の階にはN君。N君は寝たきりの母と同居しひきこもり状態だった。しばらくぶりに会うN君はやせ細っていた。病気を縁に久しぶりの再会をした夏の終わり。