小さな新聞2014年04月号(月刊わらじ連載)


前田くん・松本さん合格、熊谷くん不合格
共に学び生きたい生徒受止める県立高校を

 「どの子も地域の公立高校へ・埼玉連絡会」は障害ある子の高校入学を30年近く応援している。今年は3人が高校受験した。県立富士見高校(全日制)を受験した前田海里くん、飯能高校(定時制)を受験した松本早弥花さんは合格したが、川口東高校(全日制)を受験した熊谷健くんは不合格となった。
 熊谷くんは学校が大好きで、受験勉強にも励み、県教育局主席との顔合わせにも自分で手紙をもってきて高校へ入りたい気持を伝えた。が、点数を取らないと入れないという高校の姿勢は変らなかった。
 埼玉県では近年、高校の統廃合が進み定員枠が狭められ、今年は県全体で7000人が県立高校を落とされた。どこにも入れなかった生徒はどうなるのだろう。


 今年一月、故・吉田昌弘さんが脳幹出血で意識不明の状態でD大学付属病院の救命救急センターに搬送された。人工呼吸器をつけた彼を見舞ってここが臓器移植のための臓器摘出病院に指定されていることを思い出した。臓器提供の話が出ないことを密かに願った。臓器移植が日常の身近なところに忍び寄ってきていることを感じた。
 2010年7月、家族承諾で臓器が摘出できるようになってから摘出臓器の数は飛躍的に多くなった。2013年末の3年半の間に181人。今年一月から三月末の3ヶ月で16人。改正までの13年間では86人であるからものすごいスピードだ。同じ日にあっちとこっちで摘出されてる日もある。181人のうち家族承諾は134人。もう報道もほとんどされない。なぜ脳死にいたったかの原因も簡単に“低酸素脳症”“蘇生後脳症”“頭部外傷”“脳血管障害”などと記されているだけ。どのような治療をされたかも知るすべもない。ほとんどが密室の中。身近に迫っているのに、闇はどんどん濃くなっている。