『月刊わらじ』2001年5月号表紙

 専門学校は卒業したけれど…職のない三人の若者が訪問したこの場所は春日部市の地方庁舎内にある「埼玉県東部労働商工センター」。…といっても、ほとんどの人はその名を聞いたことすらないにちがいない。しかし、もしかしたら、ここが、これまでの障害者福祉と障害者雇用のパラダイムをひっくりかえす新しい波の起点になるかもしれない。というのは、県雇用対策課が「障害者職業開拓推進事業」という新事業で、緊急雇用基金を使い、障害者団体が「開拓員」を5ケ月間雇い入れ、同課の出先である労働商工センターに配置して、職場開拓や啓発の仕事をさせることになったからだ。同課は昨年度からこのセンターに「障害者等就職相談員」という名称で職員を1人配置しているが、これまでは固有の仕事がはっきりしなかった。同課は今年度、先の事業とセットで就労支援センター設立に取り組む市町村を支援する事業も立ち上げており、これをうまく組み合わせることができれば、これまで「出口なし」状態のまま膨れ上がる一方だった作業所等の福祉施設の利用者たちが、市町村の職場や地域の一般職場で、職安が担ってきた「雇用」の枠外のアルバイトや職場体験といったかたちで他の人々と一緒に働く機会を促進することができそうだ。これこそ、これまでの「ノーマライゼーション」に欠けていたもの。ちなみに、そんなに大きな期待を背負わされたんではちょっとしんどいなあと言いたげな、このセンターの気さくな職員さんは、前列右端と後列中央。新事業のスタートは7月。一緒に地域に出て一緒に考えてゆきましょうね。