『月刊わらじ』2002年2月号表紙

 園児と遊んでいる園長先生と見守る職員さん?いえいえ、小柄な女性は越谷市内の生活ホーム(県の制度による小規模共同住居)で独立して暮らす橋爪さん。そして男性は岩槻のデパート「アピタ」の副支配人さん。同店は越谷市の障害者地域適応支援モデル事業に協力し、作業所等からの障害者3人の職場実習を受け入れた。なかでも重複障害でてんかんの発作もある彼女をどこに配置するか、副支配人さんが悩みぬいた末に決まったのがここ、サービスカウンター。ふだん橋爪さんと一緒に自分たちのお店で店番等をしている杉山さんが同行して、週1日2時間、3週間の「実習」。
 橋爪さんは転倒事故を避けるため車椅子でいることが多いが、カウンターの中に入ると顔がかくれてしまうため杉山さんが見守りつつ1時間立っていた。橋爪さんはよだれをカウンターに垂らし、杉山さんは拭き、お客さんが見えると杉山さんが店員さんに伝え……といった「仕事」を1時間やった後、車椅子に座り緊張が解けたとたん残り1時間は爆睡の橋爪さん。本人の「感想」が本誌に載っているのでご参照あれ。
 写真はサービスカウンターに立ち寄った副支配人さんの手を握り、何事かをアピールする橋爪さん。彼女の気迫に当惑しつつもそれを受け止める副支配人さん。働くとは?生きるとは?人はどこから来てどこへ行く? さまざまな?がアピタの方々の中に去来したことでありましょう。