『月刊わらじ』2002年6月号表紙

 「利用者本位の支援費支給決定を!社会参加支援サービスの創設を!そして今こそ扶養義務からの解放を!」というスローガンを掲げた霞ヶ関デモが5月27日に行われ、わらじの会からもおなじみの顔ぶれが参加した。主催はDPI日本会議、JIL、要求者組合、共同連、障害児を普通学校へ全国連絡会など9団体。来年から実施される支援費制度は、98年暮「社会福祉基礎構造改革」の柱として「利用者の立場に立った福祉制度の構築」というふれこみでデビューした。しかしその内容が明らかになるにしたがって、公的な責任の回避と競争原理が露わになり始め、この日も久しぶりにたくさんの重度障害者たちが行動に決起した。
 公的ヘルパー制度が貧しい中で自ら介助者を募って施設でなく街で暮らし、長年かかってそうした介助を自治体レベルで公的に認知させてきた人々にとっては、この制度改革はまさに生死にかかわる。しかし彼らがごく少数派であることも事実。多くの障害児者は障害者だけの特別な学校・施設にいるか、あるいは何の支援も受けられないままで一般の学校・職場・地域(家庭)におり、制度の変化に不安は抱いても生死を制することとしては感じにくい状況にある。これを「支援費的状況」というべきか。
 けっきょく問われているのは「社会福祉」である前に「学校・職場・地域(家庭)」なのだ。そこで孤立しながら「共に」生きている障害児者の実態を把握しその支援のありようを考えて行くこと、併せて特別な学校・施設を現在の閉ざされた場から一般の学校・職場・地域(家庭)へ参加してゆくための拠点施設に変えてゆくこと。
 要するに「利用者の立場に立った福祉制度の構築」という枠組みそのものも越えて進む必要があるのだ。