『月刊わらじ』2002年10月号表紙

 この車椅子の後姿、月刊わらじの熱烈な読者だったらおわかりですね。そう!すでに誌上で20年の超ロングランを続けているあのページの作者でございます。え?!ご存じない?橋本克己画伯を?ではすぐお出かけください。埼京線北与野駅前の埼玉トヨペット本社ビル1階の福祉車両ショールームにある「はーとねっと・輪っふる」で、10月いっぱい画伯の個展が開催されております。写真はそのオープン・セレモニーの風景。
 …で、なぜ画伯の絵が面白いのかっていうと、毎日毎日電車に乗って買物に出かけることを宇宙的な使命と妄想し、行く手を阻むものを蹴散らし突き飛ばし、当然ぶっとばされて泣くことになる、わがままで甘ったれた生きざまを堂々と表現しているからなんですね。要するに「自立」とか「主体」とかいった清く気高くご立派な障害者像にげっぷげっぷの方には、一服の下剤としてお役に立つと。あなたもナルシスト克己にどこかで会ったら、一発たたいてやって下さい。本人目が悪くて、誰に叩かれたかわかりませんから。
 画伯の手話に喜んでいるみんなの顔……これ、ただ氏名、住所を言ってるだけなんですよ。存在そのものが悲喜劇なんですねえ。近々千書房から「克己絵日記」第2集出版の予定です。宣伝を兼ねて、あちこちへお邪魔します。あなたの街にも克己画伯との出会いのひとときを!