『月刊わらじ』2003年2月号表紙

 これまで「支援費には上限がない」と再三言ってきた厚生労働省が、全身性障害者で一日4時間といった上限を設定するというニュースが流れ、さらにはこれに先立って障害者プランの中でいちばん数値目標にほど遠い整備状況である生活支援センターの補助金を打ち切るといった事態となり、正月は月半ばから末近くまで、全国の障害者や関係者が抗議行動を展開した。写真手前は16日、厚生労働省前の歩道に陣取ったわらじの会の面々である。笑いながら怒り、怒りながら笑っている。この屈折したパワーはあなどれんぜよ!
 さて、事態は、厚生労働省が「一日4時間」等は個々人への派遣に上限を設けるという主旨ではなく、立ち遅れた市町村の底上げの意味をこめた補助金算定の基準であり、これまでの補助金を下回る市町村については、調整交付金を出して従来の水準を確保する、今後については障害者を含む検討委で見直しを検証すると言明することで、いちおうの収拾を見た。とはいえ、ここであらためて考えるべきなのは、そもそも国が「上限がない」などと空手形を発行して来れたのは、重度障害者のごくごく限られた人以外は地域で共に生きられるはずがないという皮算用によるということ。また、「底上げ」というけれど、その狙いは共に生きる関係の「底上げ」ではなく、民間事業者を増やし市場競争を進めるためだということ。支援費はそれ以上でも以下でもないんですよ。
 「利用者の自己選択・自己決定」というコトバが色あせたいま、厚生労働省の「裏切り」追及だけにパワーを浪費すべきではない。問題だらけの国の新障害者計画がコッソリ通っちゃった!共に学ぶ学校、一緒に働く職場、暮しあう地域をきりひらくことが第一。福祉的支援もその中でこそ生きてくるのだから。