『月刊わらじ』2003年5月号表紙

 ここは春日部市の武里団地内に数年前にできた福祉センター「ゆっく」。周りに見えているのは、機能訓練の用具。中央の車椅子の女性は頬を紅潮させてマイクを握っているが、デイサービスでカラオケをやっているわけではないのである。高橋羽衣子さん、24才。武里団地に程近い住宅地に家族と暮す。中学生のときに難病になり、現在は電動車椅子で移動し、くらしセンターべしみやかがし座で活動している。今日は、CILわらじ総合協議会が春日部市に呼びかけて開催した、支援費に関する意見交換会。支援費制度は事業者と利用者の契約を基本にすることにより、行政責任が不明確になるという問題点をはらんでいるが、春日部市はすべてを支援費に移行せず、全身性障害者介護人派遣事業を1年間残した上で自らの役割を市民と一緒に考える方針をとっている。この日の集まりももその一環。高橋さんは、移動介護の支給決定が出たが、東京まで電車に乗って同行してくれるヘルパーが確保しにくいなど、全身性と比べ使いにくいことや、親が動けなくなった時の準備にショートステイの支給決定を受けたがどの事業者に話を聞いたらいいかわからずそのままになっている…とトツトツと訴えた。「選べる」がウリの支援費制度だが、「選んだ後は自己責任」というのでは制度の問題点もつかめない。このように一人一人が「選んだ結果」を出し合い、ジグソーパズルを自治体と一緒に組み立てることなしには、この制度は飼い慣らせっこない。