『月刊わらじ』2003年11月号表紙

 見ればわかりますよね。「わらじの会26th大バザー」。今日は10月26日(日)。秋晴れの下、このフェンスの向こう側、小学校のグランドで、いままさにバザーがスタート。
 ここは「障害のある人もない人も一緒に街で生きよう」と26年間活動してきたわらじの会の拠点が点在する春日部市大場と越谷市恩間新田に近い春日部市立谷中小学校。いや正しくは谷中小学校跡。同小はこの春閉校になったばかりなのであります。
 今年のバザーを準備するにあたり、わらじの会ではここを会場としたいという強い希望を表明し、各方面にご協力を願い、実現にこぎつけた。なぜ学校なのか?学校は地域の広場であり、人生のふるさとだから。谷中小学校が創立され、運営され、閉じられてきた歴史は、この街の歴史であり、たくさんの人々が共に育ち・共に生きた歴史であり、わらじの会の活動の歴史。そう考えたわらじの会は、今年のバザー会場の一角に、この地域と人々のくらしの移り変わりを詳しく伝える展示コーナーを開設。その前では、親たちが自分の幼い頃の街のようすを子どもたちに話している情景も多く見られた。
 ところで、多額の借金を抱えた市は、この学校跡地の大部分を業者に売り払う方向を検討中という。
 いわば学校はこの街の小さな文化遺産。たくさんの卒業生や家族、教職員、そして近隣の住民の生活の記憶を掘り起こすことができれば、地域社会にとって無数のヒントが得られるはず。街づくり研究のセンターとして、コミュニティセンターとして、手作りの社会教育の場として、小さな行政センターとして、記念資料館として、憩いの場として、ぜひとも再生させたいもの。そんな計画のためならば、手弁当で駆けつける専門家たちもいるだろうし、市民債権の募集も考えられる……。
 バザーからそんな風景が透けて見えた。