『月刊わらじ』2004年4月号表紙

 会議……?にしてはちょっとリラックスしたムード。これは3月31日、越谷市役所大会議室で撮影したもの。6回にわたって行われた越谷市障害者計画策定懇話会が終了した、その直後のスナップ。いちばん手前は、公募委員の山崎さん。障害者の職場参加を考える会運営委員で、越谷西養護に通う娘さんのお母さん。そして、その右でこちらを向いて「やっと終わりました」と微笑んでいるのは、公募委員でCILわらじ総合協議会を代表して懇話会に参加してきた友野さん。生活ホーム・もんてんの住人であり、自立生活体験プログラム「ぽぽんた」のリーダー格。そのすぐ後ろでこちらを向いているのは、友野委員の介助者として懇話会に参加したCILわらじ総合協議会事務局専従職員の中山さん。
 この懇話会で友野さんが強調したことは、二つあります。その一つは「子どものときから分けないでほしい」。もう一つは「わかりやすく話してほしい」。小さいときから入所施設・養護学校で育ってきた彼女は、高等部を卒業して家に戻った時、「こんな人いたの?」とご近所に驚かれました。「ぽぽんた」に誘われて街に出始めたころはもちろん、生活ホームで一人暮らしを始めてからも、街の感覚がつかめず、いつも迷子になっていました。懇話会でその体験を語り、「分けない教育」を計画に盛り込ませました。
 友野さんは、難しい資料を読んだり、難しい話を理解するのが苦手です。そのために介助の中山さんが、会議中ずっと、横で説明をしていました。それでも追いつくのは至難のわざです。ですから「わかりやすく言って下さい」とくりかえし訴えました。障害のない人だって、同じように思った人もいたことでしょう。「インクルージョン」とか「ノーマライゼーション」とか、同じ言葉でも使う人によって、その意味がちがっていることはよくあります。難しい言葉が苦手の友野さんが委員として参加することで、かたい会議がずいぶんほぐれたように感じます。
 友野さんは、自分の発言がきちんととりあげられ、多くの委員から反応が返ってきたことによって、自信を深めたためでしょう、回を重ねるごとにその場の雰囲気をすばやくとらえた発言が目立ちました。最終的にまとめられた新計画そのものには不十分な箇所もたくさんありますが、なかなかいい懇話会でしたよ。