『月刊わらじ』2005年6月号表紙

 さまざまな障害のある人々とそこにかかわる人々が県内各地から集まり、各々の地域での生活や活動を伝え合い、県をはじめとする行政との交渉の課題を語り合う「ネットワーク合宿」(主催・埼玉障害者市民ネットワーク・野島久美子代表)が、今年も6月11、12日の二日間にわたって伊奈町の県民活動総合センターで行われた。
 写真上は11日の昼の部。各団体とネットワークそのものの歴史と現状を報告し合う「今昔物語」と題したプレゼンが展開されている。この後、夕食を挟んで夜の部はグループ討論。終わるのが午後9時。しかし、このネットワーク合宿のハイライトはそこから始まる(写真下)。交流会会場に指定されたいくつかの部屋や廊下などを含むあちこちで出会い、語り合い、遊び、時にけんかしたり…人の渦がつぎつぎと出来てゆく。団体や立場、年代のちがいをこえ、親しい知り合いが出来たり、重要なヒントを得たりするのはまさにこの深夜の部。
 思い起こせば、最初の合宿は1987年、越生の朝日のあたる家で。翌88年は狭山の智光山荘で。当時はまだ埼玉障害者市民ネットワークは存在せず、現在の社団法人・埼玉障害者自立生活協会とネットワークの共通の前身である「埼玉社会福祉研究会」の「拡大事務局合宿」と銘打っての試みだった。山に近い会場とて、ハイキングをしてから会場に着いた親子グループもいたっけ。いまの日本社会、かっての「総中流化」論が影を潜め、「二極分解」の危機感があおられる中、「異文化交流」、「異業種間交流」がはやっているが、にわか仕込みのイベントに参加する暇があったら、来年はぜひこのネットワーク合宿にまぎれこんでみてはどうですか。