『月刊わらじ』2006年1月号表紙

 今年を生きて迎えられたのはおめでたいことですが…さて。障害者雇用促進法が改正になり、精紳障害者が雇用率にカウントされたり、障害者自立支援法が施行され、「就労移行支援事業」が盛り込まれるなど、新しい年は障害者の就労・社会参加が焦点に。しかし、企業や公共機関の現場では心の病を抱える人々が急増しており、いま働いている人々を障害者とカウントするところも多いのではないかと見られ、単に雇用率未達成企業を救済するだけの実質的な改悪ではないかともいわれています。「就労移行支援事業」も受け入れる企業等がなければ、これまで「障害者」としてではなく一般雇用されてきた人々に「手帳」を取らせ施設利用者に仕立てた上で「就労移行支援」をするといった逆流に水門をひらきかねません。
 写真は、職場参加ビューロー・世一緒(越谷市)の障害者たちによるチラシのポスティング。リストラされたり、ひきこもっていたり、施設に通所している障害者たちが、地域の店や事業所にあいさつ回りをし、ポスティングや市場の清掃などの仕事をもらってグループで働きながら、互いの暮らしや仕事を一緒に考える関係を広げています。同市の事業所の9割は小規模で、「雇用すべき」だけでは関係が成り立ちません。神奈川県では、雇用の枠に入らない障害者就労を受け入れた事業所に対し、「障害者福祉的就労協力事業所奨励金」を出したり、職場体験実習を受け入れた事業所にも奨励金がありますが、こうした制度的バックアップも含め、裾野からの「共に働く街づくり」あってこそ、「(正規)雇用促進」の意義も大きくなるといえましょう。
 世一緒では、このような障害者たち自身による仕事おこし・街おこしに、あちこちの施設や地域、職場がかかわれるよう、年明けにも市内で「見学・体験・交流ツアー」を企画しているとのこと。この機会にのぞいてみたら。