『月刊わらじ』2006年10月号表紙

 越谷市恩間新田の生活ホーム「もんてん」の住人で通所授産施設「くらしセンター・べしみ」利用者の門間愛さん(写真)が、9月20日母校である県立熊谷養護学校の進路講演会で、体育館に集まった教職員に体験を語った。大宮市(現さいたま市)に生まれ、一般の保育園の後、地元の小学校に入るつもりが教委からだめと言われ市立養護学校へ、小学部在学中に両親の離婚を機に入所施設へ。抵抗したが他に道がなかった。施設内学級から熊谷養護高等部に進み、卒業後上尾の県リハ入所を経て、現在の越谷に暮らしの場を得る。回り道をしてきたけれど、近い将来に大宮へ戻り父の近くでひとり暮らしをしたいと望んでいる。とはいえ、幼い頃の近所の子供たちとの関係は、小学校に就学の時点で分け隔てられたまま。越谷ではヘルパーや訪問看護も十分に活用し、介助システムの事務局にもかかわったり、一般職場への参加を進めるNPOの事務所当番も担うなど生活を広げているが、それらを大宮へ持ってゆくことはもちろん困難だ。越谷での独立につながる進路指導に力を注いでくれたという点では大いに感謝すべき母校の存在ではあるが、生まれ育った地域で生きたいというごく自然な思い実現の道はまだ霧の中。愛さん、20才。迷いつつ自らを語り始める。