『月刊わらじ』2007年6月号表紙

 「いらっしゃいませ」のノボリを車椅子にさし、前のめりのてんかん発作をパワーに変えて街宣しているのは、橋爪静佳さん(37才・前右)と通所授産施設・くらしセンターべしみの面々。越谷市恩間新田の生活ホームで10年近く暮らしてきた静佳さんが、月1回開いている「しずかショップ」のPRで春日部市の一ノ割駅付近を移動中。ここは、彼女の生家の最寄り駅。通園施設、養護学校と、同世代の障害のない子供たちと分けられて育ってきた彼女の顔見知りは、地元にもそう多くない。でも「しずかショップ」を生家の周辺で続けるうち、「うちで店を開いていいよ」と駅近くの元おそば屋さんが言ってくれた。実は、そば屋を廃業した後、養護学校で静佳さんたちの給食を作っていた人。あらためて思う、縁は異なもの、味なもの。「地域」、「共生」が流行っているが、実態は「障害者と支援者だけの世界」が地域内に広がるだけで、他の人々からは孤立している。制度拡充は生きることを保障する。でも、縁は「保障」とは無関係。「縁」あってこそ、「地域」、「共生」に彩りが生まれ、味が出る。