『月刊わらじ』2007年8月号表紙

 春日部市武里団地の夏祭りに、今年もわらじの会は夜店を出した。二日間店を開けて売り上げが3万ン千円と、売り子の数を計算に入れたらぜんぜん割に合わない。それでも30年間出店し続けている。初めての年は、団地自治会の黄金時代だった。「子ども達にふるさとを」の合言葉で、各地区、サークル、商店街が趣向をこらして祭りを盛り上げた。よそに引っ越した人たちも、この夜は帰って来たものだ。わらじの会の障害者たちの「自主訓練」グループ「自立に向かってはばたく家(準)」も、団地を主な舞台に活動した。90年代に入ると、団地っ子たちが結婚して出て行き、高齢化・過疎化していったが、それでも祭りのときは親の家に孫を連れて泊まり、わらじの店に買い物に来るのを楽しみにしているお客もいた。世紀が変わり、自治会やサークルをやる人が激減し、商店街もシャッターを閉じた店が多い。祭りの人出も出店も減った。「帰りなんいざ、田園まさに荒れなんとす」とは言わない。さびれた祭りも時代の光と熱と風雪が刻まれた姿と思えば愛おしい。来年も裸電球の下で会えるかなあ。