『月刊わらじ』2007年10月号表紙

 毎年お盆明けに行われるわらじ夏合宿を終えると、埼玉障害者市民ネットワーク主催のこの「総合県交渉」が待っている。ご覧のとおり、県内各地からたくさんの人々が集まってくる。しかも、さまざまな障害のある人々自身が、次々と発言する。県の部局はタテワリであり、ハンで押したような回答はいずこも同じ。がっかりしたり、あきれたりしながらも、よく毎年大勢が集まり、先を争うように言葉を発するなあと感心する。県という存在が鏡となることにより、ふだんは孤立している人達が自分の周りの関係を眺め、シャドウボクシングを始める。いま多くの国の施策が市町村を受け皿とし、県は通過するだけの場になり、県単事業も減る一方。やがては道州制になり県は消滅するかもしれない。そんな瀬戸際にあることがわかれば、ハンで押した回答もかわいい。地域で共に学び・働き・生きる道を切り拓きつつ、地域をこえてつながる上で、市町村と国の間に県がいることは重要だ。日暮れを迎えようとしている県の森から、ミネルバのふくろうが私たちに向かって飛び立つのはいつだろうか。