『月刊わらじ』2009年08月号表紙

2009年08月号

 NPO法人障害者の職場参加をすすめる会の拠点「世一緒」では、毎年7月末の越谷花火大会の夜に飲物と光るおもちゃを売る。すぐ前の市役所通りが歩行者天国になり、人々がびっしり座り込んでいる。家族連れ、カップル、浴衣の女子中学生たち。どんどんどんと大音響、歓声、子どもの泣き声、硝煙と煤。市とは異郷同士が交換し合うシュールな時空。天国に寝転ぶ若者たちも、この日だけの商売人も、異郷の神として出会う。労働とは、ちっぽけな個々人の主体的行為などではない。労働という花火を咲かせる力は、闇の向こうの世界から来るのだ。
 いつも口ごもる「就労支援登録者」たちが、威勢よく啖呵を切っている、この夏の一夜。