『月刊わらじ』2010年02月号表紙

2010年02月号表紙

 橋爪静佳さん(写真)逝く。39歳で。2月4日の夜明け前。生活ホーム・オエヴィスで。主治医の大西さんはこの夜、泊まりこみまでして下さった。母・静枝さんも一緒に、最後はみんなの中での緩和ケア。その間の、常識を裏切る彼女の生命力。息が細くなりお別れと思うと、また復活。ふだんてんかん発作をくりかえしてきたことが、低酸素状態を生き抜く高地トレーニングになっていたのか?大量にたまっていた腹水も、すべて栄養として吸収してしまった。驚きの連続のみんなに、静佳さんは、してやったりと笑っているに違いない。いたずらこそが、彼女の問題提起であり、異議申し立ての手段であり、介助者の教育法だったのだ。目の前の物をポトンと落とす。議論や作業に没頭している人々が一瞬止まる。だめだよと怒られることがうれしい。静佳参上!と笑い転げる。「真夏の夜の夢」のパックのように。この流儀をひっさげて、カナダでのピープルファースト国際会議にも出かけて行った。告別式の7日―高らかな笑い声をはらんだような強い風が吹き抜けた。