『月刊わらじ』2010年03月号表紙

2010年03月号表紙

 95歳・八木下とくさん(左)、27歳・藤田孝典さん(右)。わらじ市民福祉講座第3回(2月20日)と第4回(3月6日)の語り部。とくさんは、戦争と革命の世紀、子どもの世紀といわれた20世紀を、始まりに近い頃から終わりまで生き抜いてきた歴史の証人。藤田さんは、20世紀が掲げた夢が現実のさなかで崩壊してゆく時代の霧の中で生まれ、21世紀を歩み出している若者たちの代表。70年というあまりにも長い時間の隔たりにもかかわらず、二人が「人と人の関係」そして「地域」について語ったことは、特に興味深い。とくさんは、脳性マヒの浩一さんを囲い込まずご近所に出した。浩一さんはご近所を足場に、全国の障害者運動の代表となり、今も二人はご近所づきあいの中で暮らす。藤田さんは、野宿状態の人たちと出会い、住まいや生活を一緒に考える中で、その人の歴史、家族やご近所の歴史を眺める。歴史の回り舞台が、いま一回りした。