『月刊わらじ』2011年05月号表紙

2011年05月号表紙

 「障害のある人もない人も地域で共に!」  こう言ったときのあなたのイメージは?たとえば、上の写真。たしかに「共に」だ。しかし、現実には、日本社会全体として、障害のある人は5.8%といわれる。それに対して、この写真では40%。本来の「共に」のイメージは、写真のように14人の人がいたとして、障害のある人は1人いるかいないかということになる。加えて、現実には、この30年、特に介護保険以後の10年、教育、福祉、雇用の各分野で特別な枠が拡大し、障害のある人がない人と「共に」いる状況は、少なくなっている。だから、地域で「共に」学んでいる障害のある子と親が、逆に「孤立」しているかのように見られてしまうし、思わされてしまうというパラドックスが生じる。今日は、共に学び育つためのTOKO野外おしゃべり会。好天に恵まれた県民健康福祉村にはピクニックにウォーキングに、たくさんの人々が来ている。やがて、子どもたちは、父ちゃんやきょうだいたちと一緒に、人々の情景の中にまぎれ、見えなくなった。「障害のない人」は「障害のある人」にとっての目標ではない。「共に」は「障害」を克服するための環境などではない。「ある人」と「ない人」だけでなく、子どもと大人、女と男、街の人と村の人、働く人と働いていない人、異なる立場、出自の人が互いに一緒に暮らすこと。必ずしも仲良くではなく、ぶつかりあいも含めて。ただそれだけのことなのだ。