『月刊わらじ』2012年04月号表紙

2012年04月号表紙

 越谷市障害者生活支援センター苞(ぱお)にはさまざまな障害のある人・ない人が集まってくる。上の写真は4月8日に開かれた交流会の帰りの電車。宮代町の新しい村でイチゴ狩りをして来た。初対面の者も多かったが、一緒に動いて一緒に疲れ、少し親しくなった。駅から現地までの道、「知的障害」と呼ばれる人が車椅子の人を押す。押される人が車椅子の操作と道を教える。お互いが相手の障害に関しては「非障害者」であり、よくわからないから関心が湧く。きっちりとはいかないが、伝え合い、つながる。しゃべれなくとも、動けなくとも、一緒にいれば、その障害が人と人のコミュニケーションのためのメディアに変わる。むしろ、身辺自立している人の方が、仲間に入るのに苦労する。これまで教育もリハビリテーションも「身辺自立・職業的自立・精神的自立」を目標としてきた。当事者運動も介助や援助を獲得して「自立生活」をめざしてきた。しかし、そうやって指導したり、訓練したり、エンパワメントしたりすることが、結果としてゆめ風基金代表・牧口一二さん言うところの「障害のプラス面」をなくすことにつながっていないか?苞(ぱお)は「障害者生活支援」を担っている。しかし、その「生活支援」が障害のある人々をただの障害者個人に還元して個別支援策を講じようというものであれば、いくら人がいても金をかけても社会はその目的を達することはない。大事なことは、障害のある人々が支援と引き換えに社会から分け隔てられてしまう現状に対し、社会の一員として生活してゆけるような支援である。生活のしづらさという点では、初めから「自立」が条件づけられてきた「健常者」と呼ばれる人々も同じだ。このイチゴ狩りの一日のように、障害というザックを背負って、そよ風のように街で生きる支援を!