『月刊わらじ』2012年06月号表紙

2012年06月号表紙

 「八障連」?正しくは八王子障害者団体連絡協議会。東京都八王子市の70団体が参加する大組織で、市との毎年の交渉はもちろんのこと、障害者30人・健常者20人を雇用するプラスチック資源化工場など多様な働く場をもつ八王子ワークセンターの母体でもある。そのすごい組織からなんとわらじの会にお呼びがかかり、6月9日、写真にあるように「しがらみを編みなおす わらじの会から学ぶこと」という交流イベントを開催していただいた。八王子にはヒューマンケア協会を生んだ若駒の家や養護学校義務化阻止の拠点であった八王子養護学校に縁があるグループ、さらには多数存在する精神病院から地域へと長年取り組んできたわかくさ会など、障害者運動の草分けともいえる団体がいくつかあり、そこから分かれた地下茎が地を耕し、さらに新たな実生が育って…といった豊饒な土壌が存在することを、今回初めて知った。こんな沃野がそう遠くない地にあったのだ?!と同時に、自然界で生態系が遷移するように、また人間社会そのものが世界同時恐慌や大震災・原発危機等の根底からの問いをつきつけられているように、八障連もまたそのありかたの見直しに迫られているのだということもわかった。この日のイベントは「八障連スペシャルフォーラム」と名付けられていたが、3年ぶりの開催だと聞いた。そのような場で、弱小団体・「しがらみを編みなおす」を語れというのだから、少なくとも中心を担う方々はよほど悩んでおられるのだ。さて、この結果は?それぞれの片思いがすれちがったところで時間が来てしまったのかも。「しがらみを編みなおす」のはここからだったなとふりかえる。ケはしがらみの世界、ハレはかみとの交わりの世界。ハレが終わりしらじらと夜が明け始め、シラケドリが飛んでゆき、ケが再来する「間」こそ「しがらみを編みなおす」ときが現れる。実際、イベント後の二次会では、入り乱れることで、伝え合えたものがけっこうあったと思う。八障連が先駆的に開拓してきた共に生き・共に働く関係―それらもまたサービス化の流れに組み込まれ、しがらみと化しつつある中の悩みは、規模こそちがえ埼玉の私たちと通底するものが多いと感じて帰ってきた。