『月刊わらじ』2016年01月号表紙

2016年01月号表紙

 38年目のわらじの会「みんな一緒のクリスマス」の会場で、白倉保子さん(中央)と熊谷浩紀さん(左)が話している。白倉さんはわらじの会の三つの源流の一つ「埼玉県東部地区に総合養護学校をつくる会」の会長だった。いまは娘・清美さんとともにおもちゃ図書館を運営する。熊谷さんは、「どの子も地域の公立高校へ・埼玉連絡会」で県立高校の門を叩いたが不合格にされた後都内のサポート校でヘルパー資格を獲得した健くんの父。この日、白倉さんは清美さんと、熊谷さんは一家4人で参加した。
 近所の子ども達とあたりまえに育ち合う中から暮らしを切り拓いてほしいという子育ての流儀は、わらじの会の底流をなし、40年近くに渡って受け継がれてきた。「わが子」から始まり、「どの子も」へつながる親の生きざまは、家族をひらき、地域をひらく。
 今年のクリスマスの参加者は130名だが、半数が家族での参加だった。障害のある人々の家族、障害のない人々の家族。写真を見てわかるように、多世代が集う。このクリスマスに大バザー、夏合宿を「わらじ三大行事」と呼ぶ。その三大行事すべてが多世代参加を積極的に進める。
 社福つぐみ共生会やNPO法人かがし座の諸事業を通し、わらじの会では重い障害があっても地域で共に生きるための介助、住まい、仕事、暮らし等の実践を蓄積してきた。多くの障害者が地域で介助を受けながら独立した生活を営むが、公的制度への依存度がそれほどでないのは、この「わらじ三大行事」が地域を還流して形成してゆく不可視のネットワークあってこそ。