『月刊わらじ』2016年05月号表紙

2016年05月号表紙

 写真は数年前の黄色い部屋、月刊わらじ編集作業風景。右端の金子ゆかりさんは、編集部員として活躍のかたわら、「続・林檎の溜息」を連載していたが、一昨年8月から熊本県大津町の生家に戻り、そこから同連載を続けている。
 その彼女が、書きためた小品をまとめて、偶数2(ぐずに)の筆名で「2センチ上げる」と題する本をネット出版したと伝えてきたのが4月13日。その翌日夜、熊本を大地震が襲った。しかも、16日未明に本震が発生し彼女の住む大津町で震度6強の揺れを経験し、家の中がめちゃめちゃになり、家族で避難所へ行った。家族そろって無事だったのは幸いだった。
 5月5日段階での熊本を中心とした被害は、死者66名、重傷350名、軽傷1234名、住家全壊2487、半壊3483、一部破損22855、非住家被害771、火災16などとされる。金子一家は17日夜から自宅へ戻れたが、5月2日現在でも396ヶ所の避難所に約2万人が暮らしており、仕事を失ったり病気になるなど深刻な状況になっている。また、バリアフルな避難所に入れず、暮らしを支えてきた人々からも遮断された障害者たちは生死の境で地域にへばりついて生きるべく、被災地障害者センターくまもとを立ち上げた。そんな中、「ネガティブ」、「もやもや」を身上とする金子さんが、意を決して「続・林檎の溜息 番外編~熊本日誌」を書き送ってきた。しばらく連載するようだ。淡々と、注目しよう。