『月刊わらじ』2016年09月号表紙

2016年09月号表紙

 伊豆潮風館で行われたわらじの会夏合宿の初日夜、近くの湯河原に住むハミドさん(右端)と娘・セタレさん(前列左端)が訪れた。円内は、10年前の北越谷さくら広場でのわらじ大バザーでの父娘。中学生になったセタレさんは小さい時のように父と出かけなくなった。今日は行くと言い、ほんとに久しぶりのことだと父は喜ぶ。この夜、セタレさんは一人で交流会の場にも参加し、10年前を知る人々を驚かせていた。
 ハミドさんとの出会いは、越谷市恩間新田にくらしセンターべしみができて間もない頃。工場で働いていて事故に遭い、クラッチ歩行になったにも関わらず労災認定されず、食うや食わずだった当時、べしみの給食がおいしかったと語る。そして、国際交流団体やわらじの会、また労災職業病を問うネットワークとつながりやっと労災認定される。埼玉から湯河原へ移り、お連れ合いとの間にセタレちゃんが生まれ、イランへ一家で一時帰国もした。だが、足の調子は悪く、けっきょく切断し、12年前から車いす生活に。
 この夜も生活ホームオエヴィス入居者の会沢さんに再会し、「ケッコンシヨウ」とおどけるハミドさん。だが、吊っている右腕に話題が及ぶと、声をつまらせた。3年前車で走行中、大型車2台に前後を挟まれた後遺症。その障害よりも、病院めぐりをした際に受けた差別が悔しいと。そんな日々の中で、今夜セタレさんと一緒にドライブして、みんなと会えてよかったと、最後は笑顔。これからも一緒にやってゆきましょう。