『月刊わらじ』2016年10月号表紙

2016年10月号表紙

 本誌の超長期連載「克己絵日記」の橋本画伯と並んでほほえむのは17才・花の高校生の松本さやかさん。9月19日、東埼玉・安保法制違憲訴訟のつどいでの出会い。このつどいでは、埼玉障害者市民ネットワーク・野島久美子代表が、「戦争になったら障害者はまっさきに殺される」と語った。野島さんは、安保法制違憲訴訟埼玉の会の共同代表も務める。
 憲法に定められた義務教育を「免除」され家の奥で成人し、さらに施設の奥に移送される寸前で、地域で共に生きてみようと家族ぐるみ街へ出た画伯と家族。いっぽう別学を強いる教委の指導を拒否し、通常の義務教育を共に学ぶことにこだわり、その延長で地域の公立高校の門をたたき、同世代と共に高校生活真っ只中のさやかさんと家族。
 津久井やまゆり園の容疑者は「意思疎通能力の欠如」を、戦争法(安保法制)下の抹殺の基準とした。
 画伯にせよさやかさんにせよ、分けられること・分けることを家族も含めて拒否したからこそ、画伯となり高校生として、共に生きる街を切り拓いてきた。 平和とは何か?次回の東埼玉・安保法制違憲訴訟のつどいにお招きする前田哲男氏編著「岩波小事典現代の戦争」では、「たとえ戦争がなくても人間社会に存在する貧困・不正・差別・抑圧などの状態が存在する限り、それは“平和ならざる状態”(平和の喪失)と捉えるべき」と述べる。その意味で、二人と家族、友人、知人たちは、共に生きることを通して「平和」を創りだしているのだ。