『月刊わらじ』2016年11月号表紙

2016年11月号表紙

10月16日のわらじ大バザーが終わろうとする頃、大熊照夫監督(左)が会場に。わらじの会の宣伝部長・会沢完さんと旧交をあたためているシーン。大熊さんは、かって東映教育映画「街で生きる障害者とともに」で、わらじの会と大阪・中部障害者解放センターの活動と課題を世に問うた。1998年のことだった。
 その映画のキャッチコピー、「私たちは、重度障害や知的障害を持つ人のことをどれだけ知っているのだろうか。まだ残る偏見や差別。それらをなくし、共に生きる社会を築くために、日常生活の中で健常者と障害を持つ人たちが自然な関わりを持ち、お互いの違いを認め合うことが必要である。様々な活動を続ける埼玉県『わらじの会』と『大阪中部障害者解放センタ-』を紹介している。」
 その後間もなく、「措置から契約へ」のPRと共に景気対策を兼ねた福祉市場の育成・膨張が進められた。障害者福祉サービスが地域社会の隅々に拡がる一方、その従事者以外は前にもまして関わる機会がないという奇妙な状況が目の前にある。津久井やまゆり園事件もこのことと無縁ではないだろう。
 このほど大熊さんは、差別戒名問題等を自己切開し続けている曹洞宗と組んで、ヘイトスピーチ等新たに地域社会に浸潤しつつある差別を問う映画を準備中という。その映画の中にわらじの会の障害者のインタビューも入る予定。部落差別などを主題に沢山の著作がある作家・塩見鮮一郎さんが「熱血漢」と呼ぶ大熊さん。しかし、その熱血は、屠場や革工場などの工程や働く人々へのリアルを緻密に踏まえている。大熊さんを仲立ちとして、交流してゆきたいものだ。