『月刊わらじ』2019年02月号表紙

2019年02月号表紙

 「成人式を迎えられて中学校の友達会えました。式の後LINE交換したり一緒に昼飯をしたり写真撮ったりお話したりしていました。その後の同窓会では中学校の友達と一緒にお酒飲みました僕の友達はすごく優しかったです。友達は僕にとっての宝物です。成人式に行って沢山の友達に会えて嬉しかったです」上の写真とともに届いたメール。発信者は川口市の熊谷健さん。写真中央の恩師の右隣り。
 ダウン症で小学校就学時、特別支援学級を勧められたが、近所の学校で共に学び育ち、県立高校を落とされたが、サポート校で介護の資格を取り、卒業後は地元のハローワークで念願の高齢者施設の求人に応募し、数施設に就職、退職を重ねながら、希望を貫き地域でしぶとく生きている。
 中学卒業時に母保江さんは書いた。「私は障害のある子がいると、しつけや育児を母親が一人で抱え込んでしまうというイメージでしたが、この9年間を振り返ると、息子はたくさんの友達やその保護者の方々みんなに育ててもらえたと感じています。そのおかげでずいぶん成長できたと思います。例えば協調性が身に付き、臨機応変な行動もずいぶんできるようになり、大勢の人の中にものおじせずにすんなり入って行けるようになりました。このようなことは、家庭で教えるのは難しく普通学級というたくさんの友達と過ごしたからこそ、身についたのだと思います。」
 成人式がその証であるように、「協調性」、「臨機応変」が身についたのは健さんだけでなく、友達や教職員も、各々の身につける「協調性」、「臨機応変」をより豊かにデザインし直しながら生きてきた。「児童発達支援」、「特別支援教育」では不可能な、共に生きる街への歩みだ。