地域活動支援センターパタパタの施設長で、そのパタパタがケアシステムわら細工及びぶあくと統合してNPO法人共に生きるまちづくりセンターかがし座を立ち上げるや、同法人理事長にも就任した吉田久美子さん。2002年、わらじの会に登場するや、クミチョーとおそれられ、闇の軍団を操り、わらじの勢力地図を塗り替える存在かと畏怖された。事実、異例のスピードで当時の地域デイケア施設パタパタの施設長の座を確保し、さらにパタパタがケアシステムわら細工やぶてぃっく・ぶあくと統合する形でNPO法人かがし座を発足させると同時に、法人理事長に。 4月10日、世一緒すいごごカフェで、霧に包まれていたその半生が明かされた。たしかに「闇の力」は存在した。ゲド戦記でいえば暗黒の地下迷宮から出たことのない大巫女の少女アルハのような。養護学校での12年間、地域の学校で学ぶために去った同級生もおり、高等部では地域の学校から来た生徒たちに「そんなに変わらないんだ」と驚いたりしながら過ごした。卒業後リハセンに入り、CADを覚えて在宅就労。不景気になり仕事も減り、家でぼーっと過ごした。チャットで知り合った男性と会ったら、鼻ピアスが汚れていた。別の人とつきあったのがきっかけで、家を出ようと思った。そこでゲドならぬ野島さんとの出会いがあり、一人暮らしのために稼ぎたいと思い、ちょうど地域連携のための拠点づくりを始めていたわらじの会の当事者職員に名乗りを上げた。そこで働く中で久美子はクミチョーになる。アルハがテナーとなったように。 いまクミチョーは力を込めて語る。「できないことは介助者を入れて仕事する。私が働くことで周りにも障害者と働くことを意識させる。」それは、ゲドがテナーに言ったことば「とうとう私たち二人を「自由にしてくれたね、ひとりでは、だれも自由になれないんだ」と重なっている。 |