『月刊わらじ』2020年01月号表紙

2020年01月号表紙

 12月22日(日)のわらじの会「みんな一緒のクリスマス。この30年間、常にトリを務めてきたユニークバンドの演奏シーン。1990年当時は墨田区のユニーククラブという精神障害者作業所の「メンバー」と「秘書」のバンド。彼らは初舞台の前に耳鼻科駐車場で開かれた「五月市」にやってきてお試し演奏した。小さな楽器をいっぱい持ってきて配り、みんなを演奏の輪に引き込んだ。30年後の演奏も変わらない。写真の雑踏のような風景、巡り行くハメルンの笛吹きと子どもたち、猥雑と無関心の雑居。この日、30年前の顔ぶれは3人のみ。あとは江戸川区のヒーリング・ライツの人々。ユニーククラブはとうの昔に閉じられ、バンドの面々も各地に居を移し、10数年前からユニークバンドはこの「みんな一緒のクリスマス」の時空にのみ結晶する存在となっていた。今年はユニークのオリジナル曲「ビンボー」や「この世の終わり」もなかった。にもかかわらず、ユニークのレジェンド3人とわらじもユニークも知らないヒーリング・ライツのみなさんや最近ご縁を結んだ朝鮮学校のみなさん他と共に、今年も「みんな一緒のクリスマス」を発酵させることができた。支援制度や事業所は大事だが、同じだけ大事なのは北村小夜さんが語る「いまいるところをいいところに」。文化人類学でいうプリコラージュ。いまここの「雑」を一緒に生きる。