『月刊わらじ』2020年05月号表紙

2020年05月号表紙

 ケアシステムわら細工事務局の専従職員・宮部幸絵さん(写真)。わら細工は障害者にヘルパーを派遣する居宅介護事業所だが、同時に介助を受ける人も介助する人も、どちらでもない人も等しく会員となり、異なる立場からの視点をシャッフルし、地域のあたりまえの営みとしてケアを創り直してゆこうという活動体でもある。職員の仕事は、介助の調整もあれば、事務作業も、会議、集会参加、情報発信、また介助に入ることも。わら細工はNPO法人かがし座の一部門で、同法人は障害者地域活動支援センターパタパタの運営主体でもあり、宮部さんは法人に雇われる立場だが、わら細工を経営する事務当局者の立場でもあるわけだ。ちなみにいま「介護人材不足」の原因として、「身体的負担大」、「精神的にも大変」、「他産業に比べ低賃金」が指摘され、その結果「新規採用難」、「離職率高」が社会問題化しているが、宮部さんはなぜここに居続けるのか?きっかけは音楽鑑賞のサークルだったという。そこに重度障害で一人暮らしの荒井義明さんがいて、みんなで奄美に旅行した時、荒井さんの食事や酒を手伝った。翌年、前の職場を退職した後荒井さんの介助に時々入り、次の年わら細工の非常勤職員に。当時会議に出たら皆が意見を言い合っているのがケンカみたいで、長くはいられないと思った。それから15年。居続けるのはたぶん、他者たちの生老病死を含む暮らしに入り込み、自分も他者の一人として育てられてきたから。(世一緒すいごごカフェ・トークから)