下の表は、春日部市教委の今年3 月までの就学指導の結果です。
春日部市就学指導委員会の判定にかけられる子の数は、ここのところ増えています(昨年85 人、一昨年99 人、9 7 年度58 人)。また、盲聾養護学校適と判定された子の割合が、一昨年17%、昨年22%、今年24%としだいに増しています。
判定にかけられている子の5 割近くが通常学級に在籍中の子どもだということに、ちょっとビックリします。「本来ここに来るべきでなかった子」あるいは「もしかしたらまちがって入ってきた子」としてみつめている学校や担任にとってはさまざまな出来事が「ほかに適切な教育の場があるのでは?」という先入観となって親子に投げかけられることになります。そんな視線に囲まれながら共に学ぶ上での悩みを教委に訴えた親子に対しても、十分な相談支援体制をもたない今の教委は、就学指導委員会にこの子たちを委ねるしかありません。そうやって今年度50 人の通常学級の子ども達が判定に回され、うち2人が盲聾養護学校へ、10 人が特殊学級に分けられ、3 8 人がそのまま通常学級に残りました。
2002 年度春日部市就学指導結果 総数 (2003.3)
就学指導委の判定 | うち盲聾養護学校に就学 | うち特殊学級に就学 | うち通常学級に就学 | |
---|---|---|---|---|
盲聾養護学校適 | 26 | 14 | 12 | 0 |
特殊学級適 | 44 | 28 | 16 | |
通常学級適 | 38 | 38 | ||
判定の総計 | 108 | 14 | 40 | 54 |
2002 年度春日部市就学指導結果 うち就学児分 (2003.3)
就学指導委の判定 | うち盲聾養護学校に就学 | うち特殊学級に就学 | うち通常学級に就学 | |
---|---|---|---|---|
盲聾養護学校適 | 17 | 11 | 6 | 0 |
特殊学級適 | 12 | 7 | 5 | |
通常学級適 | 10 | 10 | ||
判定の総計 | 39 | 11 | 13 | 15 |
2002 年度春日部市就学指導結果 うち在学児分 (2003.3)
就学指導委の判定 | うち盲聾養護学校に就学 | うち特殊学級に就学 | うち通常学級に就学 | |
---|---|---|---|---|
盲聾養護学校適 | 9 | 3(通2、特1) | 6(特6) | 0 |
特殊学級適 | 32 | 21(通10 特11) | 11(通11) | |
通常学級適 | 28 | 38 | ||
判定の総計 | 69(通50、特19) | 3(通2、特1) | 27(通10 特17) | 39(通38、特1) |
ところで、春日部市教委に「認定就学者は何人ですか?」と訊いたところ、「ゼロです」という答えが返ってきました。
「認定就学者」とは、昨年から「学校教育法施行令」という法令が変わって、全国的に導入された制度です。文科省が、普通学級の中にいる障害児を無視できなくなった結果、法令改正までやって盛り込みました。「本来は盲聾養護学校に行くのが適切な障害の子供でも、市町村教委が、その子の行く地域の学校に専門的な指導ができる教員がいたり、その子にあった施設・設備があると認めれば、特別に『認定就学者』として地域の学校に行かせることができる」というものです。
けっきょくは、地域で共に学ぶことを認めるわけではなく、あくまでも分ける教育が前提であり、特別な事情がある場合にだけ認めてあげますよというものなのです。はっきり言ってごまかしであり、一昨年全国で反対運動が燃え上がり、埼玉からも「ぼくたち違法人?!」行動と名づけて県民の日に国会や文科省等へのアクションを起こしたことは、このTOKO をずっとお読みの方はご存知と思います。
にもかかわらず、春日部市教委は「認定就学者ゼロ」。越谷市教委も「ゼロ」と言っています。一説では、3月末日時点で県が集計したところ、全県で50人余りとも言います。県特別支援教育課に直接問い合わせたところ、「認定就学者の数については公表しないことを市町村教委と申し合わせている」とのことでした。「50人余りじゃないですか」と訊くと、「普通学級に障害児が入る場合、すべて認定就学者にするのかと問い合わせてきた市町村教委もあり、理解が完全ではないので。」という答えでした。
もしかしたら、埼玉県全体で「認定就学者ゼロ」になるのかも?埼玉の場合、県や多くの市町村で「就学先決定に際しては本人・保護者の意思を尊重する」という確認をしてきました。それは「特別な事情の認定」ということとはちがうというのが、春日部市教委の説明です。文科省は「本人・保護者の意思も特別な事情に入る」と説明していましたので、東京都などはすべて「認定就学者」にカウントしているようです。
埼玉の市町村教委が「認定就学者」を出さなかったのは、年頭の土屋知事の「全障害児に普通学級籍」宣言と関係があるのかどうか、わかりません。しかし、はっきりしているのは、市町村教委はこれまでどおり、いやこれまでよりたくさん「盲聾養護学校適」や「特殊学級適」などという判定を行ったということです。「認定就学者」とはしないけれども、「本来は別の場所で教育を受けるべき子供」とレッテルを貼られた子どもがたくさん生まれたことは、たしかです。