10月4日付け読売朝刊県版から |
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県教育局は3日、県立高校の進学実績や進学率の向上を図るため、2004年度から「進学重点支援校」を指定する方針を固めた。県立高校はこれまで、進学実績を前面に出してこなかったが、私立高校との競争が年々激しくなる中で、進学実績向上を売り物とした。稲葉喜徳教育長は「進学実績の向上は、生徒の進路希望を実現する上から大変重要であり、保護者や県民も期待している」と話している。
県教育局によると、来年度から南部や西部など各地域ごとに、進学指導推進拠点を指定する。指定は高校側の希望によるが、現行の進学校が想定される。進学についての指導実績を持つ教諭の経験や知識を指定各校で共有、大学入試に役立つ内容を指導することなどを検討している。
ここ数年、私立高校が選抜制の「特進コース」などを設け、大学入試に向けた取り組みを強化する一方、県立高校の難関国立大などへの進学実績は、以前に比べて落ち込んでいた。このため、保護者や県民から、学カ低下を心配したり、進学実績の向上を要望する声などが上がっていた。今年度から始まった教員施策提案制度でも「進学に力を入れる『進学指導研究指定校』を設ける」が優秀提案賞となり、これを具体的施策に反映して高校選択の幅を広げることとした。
県教育局指導課は「公共教育の役割にも配慮しながら、伸びる子を伸ばせるような環境を整備したい」と話している。
県教育局は3日、学習障害(LD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)の子供たちを支援するため2005年度までに全小・中学校に教職員の「特別教育支援コーディネーター」を配置する方針を固めた。
文科省は今年3月、「障害のある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じて支援を行う」とする基本的方向を示し、学校・福祉・医療などの関係機関との連絡調整や保護者に対する学校の窓口を担うコーディネーターを学校に置くよう求めた。これに基づいて、文科省の委嘱で今年度に県教育局が実施したコーディネーター養成の研修には、420人の教職員が参加した。
県教育局特別支援教育課は「これまでは担当者が明確ではなかった。専門的な知識を身につけ、教職員の理解を深めたい」と話している。(読売県版 10・4)
県立高校での「進学実績向上」主義は、ストレートに中学の学習指導に反映する。「伸びる子供を伸ばせるような環境」を作るためには、伸びる子を伸ばすための学習の足をひっぱる子をなんとかしなくてはならない。「学習障害」や「注意欠陥・多動性障害」が、新たな「障害」としてクローズアップされ、その「支援」が問題とされる基本的状況を、この読売の記事ははっきり示している。「特別支援教育」とは「伸びる子を伸ばす環境整備」なのだ。 |