東部地域ニュース |
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中学普通学級に転校した竹澤くんの2ヶ月
「たけ」と呼ばれ、よく笑い、自己主張
前号で「おしゃべり会ツアー たけさと版」の報告をした中に、宇都宮市の特殊学級から春日部市の普通学級にこの9月から転校した竹澤輝(ひかる)くんのお父さんの話があったのをご記憶の方もおられると思います。 今回あらためてお父さんの浩義さんにお願いして、この2ヶ月の学校生活、とくに輝くんと他の生徒たちの関係や学校との話し合いの状況、親の思いなどについて、書いていただきました。 |
やっぱり一緒がいい
竹澤 浩義
“みんなと一緒に地元の中学校に通わせたい”との思いで9月に転校した中野中学校の普通学級での学校生活も、早2ケ月がたちました。【輝(ひかる)の様子】
輝の学校生活は、9月1日の全校朝会でみんなに紹介されて始まりました。久方ぶりの普通学級での生活にわくわくしながらも、残暑が厳しいころでしたから“大丈夫だろうか”とやや心配しつつのスタートでした。学校のみなさん(先生方・保護者・生徒・支援員の方々)に輝のことを実践(学校生活)の中で知ってもらうということについては妻が対応しました。
今では苦手な階段も支援員と一緒に昇降をして移動教室の授業に参加しています。発作の後に階段のところで立ち往生しているときなどは何人かで教室に連れて行ってくれるそうです(3年生が背負ってつれていってくれたこともあるようで、その様子を見ていた3年生の先生が“輝くんはみんなの良いところを引き出してくれますね”と嬉しそうに話しをして頂いたこともあるようです)。
教室では、”たけちゃん”とか”たけ”などと呼ばれています。休み時間などは男の子と遊んだりしているようです。給食の時、先に食べていいよと言われてもみんなが食べ始めるまで食べようとしなかったり、体育の時間にはみんなと一緒に学校のまわりを2周も走ったりなどなど、ますます自我というものをはっきりと出すようになってきました。
私たちは“友達と一緒に学校に行きたい”という輝の意志を尊重し、普通学級への転校を望んできました。そして転校して2ケ月がたち、ますますよく笑い、よく甘え、よく自分を主張してくれる姿に、輝が自分の意志を持って少しずつですが自分自身で歩き始めているということを感じます。さりげなく助けてくれる友達、支援員の方や先生方に囲まれての学校生活が得られていることに、支援頂いた方々への感謝の気持ちでいっぱいです。
上の写真は、9月25日に春日部市文化会館で公開された文化祭での合唱の様子です。バギーに乗って参加しているのが輝です。 【みんなと一緒にすごすということの実践について】
このような学校で過ごすことのすばらしさを享受している一方で、“みんなと一緒に”の実践の部分については、まだまだ簡単には理解されない部分があります。最近の出来事を少しまとめてみました。@社会体験チャレンジへの参加について
社会体験チャレンジとは、市内の中学校の全1年生が3日間いろいろな職場に出かける職場体験活動のことです。これに対する学校からの提案は“地元の小学校に行ってそこで3日間特学ですごしたらどうか。そこならばよくみてもらえますから”と、言うものでした。色々と考えて頂けた上でのことなのでしょうが、私たちからは“特学で3日間すごすのであれば、輝の社会体験チャレンジにはならない。この活動の趣旨に則った輝なりの参加をさせて頂きたい。見る・触れる・感じる・何かのお手伝いをするということを輝も友達と一緒にさせて頂きたい”。“体験の時間についてもみんなと同じ時間でお願いしたい”とお伝えしました。そして“支援員と一緒ならば大抵のことはできるはずですから受け入れ先と調整をします”との学校から回答を頂くことができました。A学校で終日すごすことについて
通学して2ケ月たちましたが、まだ終日学校で過ごすことを許可されていません。朝8:50に登校し13:50に下校のままです(朝・夕のクラスの会には、まだ一度も出たことがありません)。この件は当初からの懸案ですが、その後なんのご連絡も頂けていませんでしたので学校にうかがってみました。回答は、教委・学校、保護者との懇談を持ちましょうとのことでした。しかし、この懇談につきましてはあえてお受けする気持ちはないということと、理由をお伝えしました。
理由とは以下のようなものです。1)転学許可を頂いた三者懇談時に、学校から教委に投げかけて頂いた支援員の勤務時間問題の解決要望について、その後の様子をお知らせ頂けていません。折角学校から教委に投げかけて頂いたことなので、是非とも解を出して頂けたらと思います。
2)転学許可を頂いた三者懇談時に、“できるだけ早く理解され、皆と同じ時間までいるようにしてほしい。一人でどこかへ行ってしまう子ではないし。授業に関し特別な指導ができないというがけっこうです。少しでもみんなと一緒にいさせてほしい”と学校にもお願いしました。そして2ケ月がたち学校での輝の様子についても充分に知って頂いたと思います。学校にいたいと言っているのに毎日早退をしています。このような部分についてどのように考えておられるのでしょうか?
3)これまで何度も“みんなと一緒にすごさせて頂きたい”とお話しをしてきました。その上で、これから設定されようとしている懇談会では、どのようなことを話し合うのでしょうか?話し合う内容を理解し納得してからでなければ懇談には応じられません。と、いうものでした。
このように“みんなと一緒にすごすということの実践”については、まだまだたくさんの課題があります。しかし、輝が”みんなと一緒に学校に行きたい”という意志を持っている以上、親としてはその意志を尊重しなんとか叶えてあげたいと思います。