東部地域ニュース

就学指導の対象にされた親からの疑問を提出

春日部市教委との話し合いから(12月15日)

 12月15日に春日部市教委と就学指導をめぐる話し合いを行いました。就学指導を共に学ぶ教育に向けて全面的に見直すことについては、すでに下話しはしてありますが、本格的な話し合いは今後に委ね、この日は現に実施されている就学指導の対象にされた子どもの親たちから、その体験を通しての疑問や意見を伝えました。

 親たちからの発言は主に次の通りです。( )内は、お子さんの在籍状況など。

●分けられ続けてゆく…「共に学ぶ」はどこへ
K(小1・特殊):昨年ははじめ普通学級と思って燃えていたが、現実問題にぶつかった。通学班のリーダーの子の親から「何かあったら責任取れない」と言われた。学校からも「協力してもらえますか」と言われた。やはり特殊がベターかと思ってそうした。だが特殊の中でも弱い子はいじめられる。それを訴えても「他にも手がかかる子がいるので」と。がまんできなければ養護へ行ったらどうかという雰囲気。これでは何のために障害者計画で「共に学ぶ」をめざすとしたのか。

●小さな世界からみんなの中に参加できるのか?知能テストの情報開示は?
W(小6・普通):中学は特殊に行くことにした。本人は大人数の中にいたいと希望しているのだが。検査してもらったら、黒板の字を写すのが劣っている。きちんと書くことをせずに6年間来てしまったら、本人も書けないと思ってしまった、そういう部分をこれからの3年間で身につけさせたい。また思春期に向かうにしたがって不安な面もあるので、そこも対応してもらえればと思った。選んでしまってからも、迷いがある。あまりにも小さな世界だなあという不安。また、親学級に行くのは体育とか音楽が多いというが、うちの子は理科が好きなので、そういうのにも参加できるか。ほかの子にちょっかいを出したりするのだが、それでも親学級で受け入れてくれるだろうか。あと、小学校で知能テストを受けてくれと言われ受けたが、その結果については「教委の資料ですから」ということになってしまう。文書で親にいただくわけにはゆかないのか。

●普通に行き続けたい…なぜ別にしようとするのか
N(小5・普通):低学年のときは座っていられなかったが、4年のとき先生がいちばん前の席にしたら、1時間座っていられるようになった。先生のやり方で子どもが変わると思った。大きいトイレを二度失敗しちゃったくらいで、ほかはそう問題がない。先日、先生に「知能テストを受けて見たら」と言われ、断った。1年のとき、校長、学年主任など4人で受けさせられたいやな思い出がある。特殊や養護に回したいための資料としか思えない。「中学では見向きもされない」と先生は言うが、5年生になっても遊びに来てくれる友達がいる。本人も「普通に行きたい」と言っているし。

●みんなと一緒に同じ時間を過ごすということ
T(中1・普通):学校というところは、子どもの将来や家族の社会への窓口、出発点と思っている。何が出来るというより、子どもらしく、人間らしく過ごせたらいいなと思う。同世代の子ども達が興味を持つことに触れていければいいなと。子ども達も比較的すんなりと受け入れてくれている。まったくというほど出来ることはないが、全体の動きを体で感じとって努力している。普通に入ってよかった。子どもにとって居場所があるなと感じる。英語の時間にみんなで「I My Me」などと発音しているとき、本人もそれに合わせて発音していたよと他の子が教えてくれた。支援員の勤務の関係で、帰りの時間はまだ出たことがない。みんなと一緒に同じ時間を過ごさせたいなと思う。

●普通に行かせたいが判定に従うしかないのか?
Y(保育園): 上の子もまだ学校に上がっていないので、学校というところがまだわからない。就学指導で判定されて「特殊」と言われたら、「はい」というしかないのかと思っている。いまは保育園でみんなと一緒に育っているので、自分としては普通に行かせたいと思っている。

●なぜ勧める養護学校?バリアフリー化は何のため
I(6才・幼稚園):クラッチで多少歩けるが、危ないので、幼稚園では先生が移動を手伝ってくれている。車椅子もある。7月ごろから就学相談に来ているが、判定では安全面から宮代養護へ行って下さいと言われている。でも地域の学校へ行かせたいと言ってきた。疑問に思ったのは、学校での相談の後、就学指導委で面談があり、自分が誰だとも名乗らずにこちらのことを訊いてきて、養護学校を勧めたこと。養護学校のことや卒業後の進路のこともよく知らずに養護学校をなぜ勧めるのか。地元の小学校はエレベーターもトイレもある。それでも40人中の1人として、1人でやれなくては普通学級には行けないと言われた。介助は付けられないと。なんのためのバリアフリーなのか。「親の願いをかなえるという意味で、入学してもいい」と言われたが、腑に落ちない。学校が新しくなっても受け入れ側が心のバリアを張っている。車椅子体験などを一日させても意味がない。介助も絶対付けられないと言われた。ボランティアも自分で探せと。私が付いていく気はあるが、健康上の問題で行けなくなったときはどうなるのか不安。

 いずれも本質的な問題をついており、時間がない中で市教委の鎌田主任からいちおうの回答がありましたが、かなりピンボケでがっかりでした。
 昨年度末に「『共に学ぶ教育』について春日部市教委として確認できる事項」を以下のようにまとめたはずなのに。全体として、確認1、確認2違反が目立ちます。I さんへの対応は、確認3違反。確認4、確認5も、積極的な対応はなされていません。

『共に学ぶ教育』について春日部市教委として確認できる事項( 2 0 03 年度)

1 .本来は障害のある子もない子も地域の通常の学級で共に育ち・共に学ぶことが大切であるが、現状ではそこで学ぶための理解や支援が十分に整っているとはいえない状況があるので、親子がそれを望みかつ必要性が認められる場合には、特殊学級や盲・聾・養護学校も用意し、そこでの教育を選択できるようにしている。

2 . 現状は、1 の通りだが、今後は、市障害者計画の「共に学ぶ教育の推進」を具体化し、「障害のある子どもと障害のある子どもが、分け隔てなくともに学び育つことができるように、多様な支援方法を検討して障害のある子どもの学校生活をサポートする。」施策を進めてゆく。

3 .本来は、地域の通常の学級で共に育ち・共に学ぶ上でのさまざまな壁や親子の不安・ためらいに応え、支えてゆくための「相談( および支援)」活動と、やむをえず特殊学級、盲・聾・養護学校を選択した親子や就学先に関し専門家の判断を希望する親子に対してのみ行うべき「就学指導」とは、はっきり区別されるべきである。だが、現状では、体制が整わないこともあり、この二つの活動を明確には区別できていない。とりあえずできることとして、就学相談の担当者に対し、通常学級を希望している保護者に対して養護学校がいかに適切なところかを説くといった対応は厳に慎むよう指導してゆく。

4 .現在、市内の通常学級では小学校で1 名、中学校で1 名の障害のある生徒に教育委員会の予算で補助員を配置している。今後も必要に応じ、緊急雇用対策の予算なども活用して、配置を検討してゆく。保護者に対して付き添いの強要はしない。保護者の側から「お手伝いしたい」ということをうかがうことはあるが。

5 .盲・聾・養護学校に就学している生徒も、地域の子どもであり、本来は地域の通常学級で学ぶべき子どもとしてとらえる。したがって、従来のように入ったら高等部を出るまで1 2 年間近所の子ども達と共に学ぶことなく過ぎてしまう現状を見直し、できる限り居住地の小・中学校に交流したり、転籍できるよう、地域の情報を提供しつつ相談・支援を継続できる体制作りを進める。