1・30岩槻でのおしゃべり会報告

 1月のおしゃべり会は、昨年6月以来、半年ぶりの岩槻でした。16人の方が参加されました。平日にもかかわらず、遠くから参加してくださった方々が目立ちました。岩槻のRさん、Wさんは、お子さんが県立高校の全日制に通っておられます。Wさんの息子さんは定員割れで入り、去年学校に行きたくないと、私立への転校まで考えました。いわゆる「教育困難校」で、教室から出てゆく子や授業中寝ている子もいて、中学とのちがいに面食らったようです。でも2学期になり、行事がありクラスに慣れました。退学する子もいて少人数になり、結果的に息子さんにはちょうどいい感じになったようです。
 始まるずっと前から、長瀞のOさんが待っていてくれました。筋ジスで小・中・高そして専攻科、ずっと普通学級で学んできた息子さんが18 歳で昨夏亡くなったとのこと。TOKOにはぜひ参加したいと思っていたが、皮肉なことでいなくなって初めて参加することになったと話されていました。中学に上がるときはちょうど学校が荒れていて拒絶されたが、大学の先生の応援もあり、意地でも通ってやると腹をくくって行き続けたら、私と息子を見て周りが変わり穏やかになりましたと、当時をふりかえっておられました。Oさんは、息子さんのアルバムを回覧してくださいました。
 春日部のFさんは保育園の年中ですが、来年就学猶予をしようかと考えており、そのためにもう1年、年中で過ごさせようかと考えています。久しぶりに参加した春日部のIさんは、かって娘さんを養護学校から通常学級へ転校させた頃をふりかえって、「オムツが取れたら地元校へとか、座れるようになったら通常学級に行かせようとか、私も考えていました。何かが出来るようになるまでといってもきりがないし、そうなるかどうかわからないことです。結局はそのまま近所の学校に入って、そこで学校と話し合うことが一番大事だと経験から思います。」と語りました。Fさんは「何から何までできなきゃ入れないとは思っていないんです。でも本人ののんびりペースに合わせてあげたい。」と言います。三郷のNさんは、「今の保育園の友達と一緒にやっていく中でいろんなことがあったほうがいい」と指摘します。吹上町から見えたTさんは、お子さんが今年就学を迎えますが、猶予をさせようか、どうしようかと、昨年10月ごろから悩まれたそうです。けっきょくは、これまで幼稚園の2年間での子ども達とのきずなを大事にしよう、親の都合でこの子のクラスメート全部変えてしまっちゃいけないと、そう考えて就学を決断されたと語りながら、「でも最終的には、親自身が決めることが大事」と、Fさんを励ましておられました。
 羽生から初めて参加されたSGさんは、小1のお子さんを学区外の特殊学級に通わせています。自宅の目の前に学区の小学校があるのですが、「主人と行ったら、うちでは見られませんと言われてしまい、養護学校ではなく地域にと言ったら学区外の特殊を勧められて…」という経過だそうです。SGさんは、交流で行っているクラスの子が声をかけてくれて雰囲気がいいので、介助の人を付けて通常学級でやってゆければと思ったり、来年、下のお子さんが就学なので、できれば地元の学校でとも思い悩んでいると語りました。春日部のSIさんは、かって娘さんを学区外の特殊学級から地元の特殊学級に移したとき、特殊学級の生徒たちが「あんなのと一緒にされたくない」と言って全員通常学級へ戻ってしまい、そのまま中学も通常学級で過ごし、結婚して子どももいるという話をされました。そんな風に「重度」とされた娘さんも、生活ホームでの一人暮らしを体験し、SIさんとともにおもちゃ図書館の運営委員もしています。SIさんは、障害のある子が普通の子に近づくということはない、勉強ができるようになるとかじゃなくて、普通に生活しながら生きていく知恵を身につけることが大事だとアドバイスしていました。
 幸手のSAさんは娘さんと見えました。娘さんは「はたらいた。かいしゃクビ。ふけいき。」とくりかえしていました。会社をリストラされたのです。お母さんは、「12年間がんばって働いてきたのだから、もうちょっとゆっくりさせてやろうと思っている。」と話していました。SAさんは、先のFさんに、「できる・できないで考えていると、学校のリクツに負けてしまう。あたりまえに友達の中にいるという考えでないと。」語っていました。それが社会で生きるということだと。
 正しい道は一つではありません。また、横道にそれたからといって、取り返しがつかないことは何一つありません。社会にもまれながら、迷いながら、一緒に生きながら、いつも考えてゆくことが大事なのです。
 TOKOおしゃべり会の特徴は、多世代交流にあります。また親に限らず、障害のある本人や親以外の関係者などが参加する多様性にあります。いろんな切り口からみつめることの大切さを感じます。また、自分と子どもが孤立しているのではなく、さまざまな人々の暮らしあう地域の中にいることを実感できます。いまの時代、教育・医療・福祉…、情報が溢れています。専門家がつぎつぎと生産されています。流行に振り回されたり、おしきせの「支援」メニューを押し付けられないように、地域にしっかり足を踏ん張るために、あなたもおしゃべり会に来ませんか。