越谷市では、いま障害者計画策定に向けた作業が行われています。2月20日に、障害者団体や公募委員もまじえた同計画の策定懇話会が予定されていますが、その懇話会に提案される施策(案)が数日前に明らかになりました。一目見て、びっくり。これまで市教委と私たちとの間で取り交わした確認(TOKO NO.118参照)が、いっさい反故にされているではありませんか。また、埼玉県特別振興協議会の最終報告の表現よりも後退しています。
この懇話会には、就学前から入所施設で過ごし、施設内の養護学校で育ったため、大人になって自宅に戻ったとき、近所の人に驚かれたという体験をもつわらじの会の友野由紀恵さんが公募委員として介助者とともに参加しています。友野委員は、小さいときから分けられることが、大人になっても障害のある人とない人が互いにどうつきあったらいいかわからない社会につながっていると、くりまえし主張してきました。20日の懇話会席上、友野委員から提出された「修正案」のうち教育分野を、以下に掲載します。(□で囲った中のアンダーラインの太字が修正又は追加部分。参考としたのは私たちとの確認書と特振協報告。)
今後、市町村合併をにらみつつ、あちこちで新たな障害者計画策定が進むでしょう。また、今国会に出される予定の「障害者基本法改正案」では、これまで努力義務だった市町村障害者計画を義務化することにしています。他市町村での取り組みにも、ひとつの参考にどうぞ。
友野委員の修正案
第5章 個性を尊重し、可能性を伸ばす支援を充実する
【現況と課題】一人ひとりの持てる力を最大限に伸ばし、主体性と自立性を促すうえで教育は重要です。
→ 障害のある人とない人が、分け隔てられることなく、共に育ち共に学ぶことを通して、一人ひとりの持てる力を最大限に伸ばし、主体性と自立性を促すことが重要です。
障害の状況や子どもの成長にあわせた教育環境の整備など、適切な相談サービスが求められています。
→障害の状況や子どもの成長にあわせた共に学ぶ教育環境の整備など、適切な相談サービスが求められています。
障害のある児童生徒は肢体不自由児を対象とした越谷養護学校、知的障害児を対象とした越谷西養護学校に在籍しています。さらに、市内の小・中学校に特殊学級を設置し知的障害や情緒障害のほか、弱視学級や難聴、言語障害など、多様な教育的ニーズに対応してきました。
→障害のある児童生徒は肢体不自由児を対象とした越谷養護学校、知的障害児を対象とした越谷西養護学校に在籍しています。さらに、市内の小・中学校に特殊学級を設置し知的障害や情緒障害のほか、弱視学級や難聴、言語障害など、多様な教育的ニーズに対応してきました。また、近所の子ども達と一緒に、通常学級に在籍している障害のある児童生徒もいます。
今後は、真の意味でのインクルージョンへの取り組みを念頭においた、幼少期からの日常的なふれあいをより高めるとともに、教職員の質の向上も含めた教育・保育環境のハードおよびシフト面の充実を図っていくことが必要です。
→今後は、真の意味でのインクルージョンへの取り組みを念頭においた、幼少期からの日常的な育ち合い・学びあいをより進めるとともに、教職員の質の向上も含めた教育・保育環境のハードおよびシフト面の充実を図っていくことが必要です。
【施策の方向】
○学校教育においては、福祉教育を充実するため福祉教育資料の活用、スクールボランティアセンターの整備を促進していきます。また、特殊学級の指導体制や教職員研修を充実し、障害児の学習環境の向上に努めるとともに、通常学級との交流を深め、真のインクルージョンとしての学校環境づくりをめざします。
→学校教育においては、共に育ち共に学ぶための福祉教育を充実するため福祉教育資料の活用、スクールボランティアセンターの整備を促進していきます。また、地域の通常学級で障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が共に学ぶ上での多様な支援方法を検討します。また、特殊学級の指導体制や教職員研修を充実し、障害児の学習環境の向上に努めるとともに、通常学級との交流を深め、真のインクルージョンとしての学校環境づくりをめざします。さらに、盲・ろう・養護学校の子どもが、その子の本来行くべき居住地の学校の通常学級に参加できるよう努力します。
○障害児の持つ可能性を最大限に伸ばすためには、幼少の頃からの日常的なふれあいが重要であり、就学前教育や保育の充実を図ります。
→障害のあるなしにかかわらず分け隔てられることのない地域社会を実現してゆくには、幼少の頃からの日常的な育ち合いが重要であり、就学前教育や保育の充実を図ります。
○児童生徒が安心して教育を受けられるよう、専門家や医師などの参加による教育相談・就学相談の充実を図るとともに、継続的な教育相談を推進します。また、障害のある児童生徒へのきめ細かな対応を図るため、関係機関との連携強化や研修などによる関係教職員の資質の向上を図ります。
→ 障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が共に学ぶ上での不安や悩みに応えられるよう、専門家や医師などの参加による教育相談・就学相談の充実を図ります。また、特殊学級や盲・聾・養護学校で学ぶ児童生徒も、本来は地域の通常学級で共に学ぶことが保障されるべき児童生徒であるという原則の下に、居住地の通常学級への参加を希望する場合等にできる限りの支援できるよう継続的な教育相談を推進します。また、学校外での地域生活や卒業後の進路も含めて、共に育つためのきめ細かな対応を図るため、関係機関との連携強化や研修などによる関係教職員の資質の向上を図ります。
〔主要施策〕
1.学校教育の充実 → 共に育ち共に学ぶための学校教育の充実
(1)共に学ぶ教育の推進 障害のある子どもと障害のない子どもが、分け隔てられることなく共に学び育つことができるように、多様な支援方法を検討して障害のある子どもの地域の通常学級での学校生活をサポートする施策を進める。(市教委との確認点)
参考:「ノーマライゼーションの理念に基づく教育の実現には、小中学校におけるバリアフリー化の推進や介助員の配置など、障害のある児童生徒が地域の学校で学習できる教育環境を整備する必要がある。」(埼玉県特別支援教育振興協議会最終報告 P.12)(4)特殊教育諸学校等との連携
,font size=4 color=purple>.居住地交流の推進 盲・ろう・養護学校の子どもが、その子の本来行くべき居住地の学校の通常学級に参加できるよう努力する。
(市教委との確認点)
参考:「盲・ろう・養護学校に在籍する児童生徒が……小中学校の通常の学級で学校行事への参加や教科学習を行い、障害のある児童生徒が可能な限り地域の小中学校の通常の学級で障害のない児童生徒と一緒に学ぶ機会を拡充する」(埼玉県特別支援教育振興協議会最終報告 P.19 支援籍の説明)4.相談の充実 → 共に育ち共に学ぶための相談の充実
17就学相談の充実 → 就学相談の見直し
・就学指導委員会の開催 → 就学指導委員会の見直し
参考1:「ノーマライゼーションの理念に基づく教育の実現のためには、障害の種類や程度に基づく就学の場の設定を検討するこれまでの就学指導を、本人や保護者への教育的支援や相談機能を重視する就学支援の観点と学校や学級の枠を超えて児童生徒の学習活動を支援する観点から充実を図る必要がある。」(埼玉県特別支援教育振興協議会最終報告 P.11就学指導の見直しと個別の教育支援計画について)参考2:「地域の通常の学級で共に育ち・共に学ぶ上でのさまざまな壁や親子の不安・ためらいに応え、支えてゆくための「相談(および支援)」活動については、従来も行ってきたが、今後も努力を傾けてゆく。この相談活動とやむをえず特殊学級、盲・聾・養護学校を選択した親子や就学先に関し専門家の判断を希望する親子に対してのみ行うべき「就学指導」とは、はっきり区別し、まず「就学先判断」ありきという対応はしない。就学相談の担当者には、通常学級を希望している保護者に対してその意に添うよう、指導している。通常学級を希望したり、現に在籍している子どもの保護者に対し、別の場に行った方がいいと勧めるといったことのないよう、今後とも指導していく。」(市教委との確認点)