障害児が地域の学校に自由に行き来できる「支援籍」を試行するモデル市として、県教育局が坂戸市と熊谷市に委嘱を打診していることが二十日、分かった。三月末までに正式に決定する見込み。県教育局は坂戸、熊谷の市立小、中学校を対象に二年間かけて検証、二○○八年度から全県での導入を目指す。
坂戸市には県立のろう学校、熊谷市には肢体不自由児の養護学校がある。両市とも「十〜十五万の平均的な人口」(県教育局)だったためモデル市の候補となった。
坂戸市と熊谷市では、二年後までに保者の相談機能を高めた就学支援委員会を設置。同委員会が小学校低学年を中心に各児童のニーズに応じた進学や支援計画を立てる。計画に基づき、養護学校や特殊学級の児童が小、中学校で「支援籍」を試すという。また交流教育を増やし、人権教育を実施することで、障害者に対しての理解を深めていく。
県は新年度予算案に、「支援籍」をモデル市で検証する事業として約六千百万円を計上している
(写真は、新聞ではなく県教育局のHPより。昨年11 月20 日特振協報告を、宮崎委員長が稲葉教育長に手渡しているところ。)
資料:高校入学を進めるための要望書
2004 年1月 日
埼玉県教育委員会委員長様
どの子も地域の公立高校へ・埼玉連絡会
要望書
埼玉県教育委員会教育長様
代表 斉藤尚子
みんな一緒に普通学級へ・埼玉連絡会
代表世話人 一ノ瀬、井の山
埼玉障害者市民ネットワーク
代表 野島久美子
今年も高校入試が目前に迫ってきました。みんなと一緒に高校に通いたいという強い希望にもかかわらず、定員内不合格により何年も浪人生活を余儀なくされていることの重みを受けとめて、高校への受け入れが実現するよう御尽力の程よろしくお願い致します。
前回の要望書に対する回答の中で、“高等学校と盲・聾・養護学校高等部が設置されており、進学希望者はいずれかを選択することになっていること、高等学校には入学者選抜があること、・・・・・・”といった内容があったことは、障害がある子は盲・聾・養護学校へと言わんばかりにも受け取られ、極めて遺憾です。貴局と私たちの間では、地域で生活し、学ぶことの大切さを確認し、高校でも一緒に学ぶことを進めるためにはどうすればいいか、その可能性を探るために話し合いを続けてきたはずです。高校への受け入れを広げていくための話し合いであることを再確認して、進展のある回答をお願い致します。1.前回の交渉で、「障害があることにより、不利益な取り扱いをすることがないように・・・・・・」通知の“教職員数の関係から、学校として介助を行う職員等を配置することはできないが、”の部分を削除するよう要求したのに対し、制度的に配置できるようにならなければ、はずすことはできないということでした。話し合う中で、欠格条項であるとする私たちの考えに賛同できるところはあるので、はずす方向で検討したいとのことでしたが、埼玉障害者市民ネットワークからも削除要請(新聞にも報道)があったにもかかわらず、削除しないまま、“今後、県教育局で研究することとする。”という文言を追加しただけで、なんら具体的な対応も示さず、先延ばししただけです。
すでに今年度の高等学校入学者選抜に向けて動き始めています。通知の本来の趣旨である“不利益な取り扱いをすることがないよう”、具体的な対策を立て、行動を起こしてください。
“……学校として介助を行う職員等を配置することはできない、”の文言があることにより、障害がある人は介助が必ず必要であるという誤解を与えることになり、さらに、県が介助の必要な生徒に対してなんら対応しようとしないというように高校現場では受けとめていて、そのために定員内不合格を出してもいいとする校長発言も聞かれ、大きく不利益になっています。そのようなことのないよう校長会で説明をしているとのことですが、成果は見られません。これはまさに欠格条項と言わざるを得ません。この文言により定員内不合格がくり返されるなら、大きな問題です。このような不利益が起こることのないよう、受験先高校長にきちんと説明を行い納得できるようにし、定員内不合格を出させないように、責任をもって取り組んでください。2.定員内不合格については、特振協においてもその問題に触れ、研究課題としていますが、本来制度内の課題です。。2001 年3月には定員内不合格の解消に向けて確認をしましたが、それにもかかわらず事態はいっこうに改善されません。校長会や指導課長との事前協議の場で、校長を強く指導していくと言っていますが、生徒指導上の問題とも絡んで定員内不合格を出さないようにという指導が徹底していなかったり、事前協議として取り上げない校長がいるといった話もあります。基本的には、子どもに「問題」を肩代わりさせ、排除・隔離することによって、解決を先延ばししてきた社会の側こそが、問い直されなければなりません。こうした子どもたちを公立高校までが切り捨ててしまうとしたら、地域社会は再生の道を失ってしまいます。県教育局が率先して受け入れの姿勢を示し、定員内不合格を出さないよう指導を強めると共に、予算不足を理由に責任逃れすることなく可能な施策を進めてください。
3.コミュニケーションは相互的な関係であり、まずは受け入れて付き合っていくことからコミュニケーションが成立していくことは、これまでの例でも明らかです。また、受け入れた学校はさまざまな工夫をしていることも、学校訪問等でご承知のことと思います。地域で共に学ぶことなしには、卒業後、共に働き、共に暮らすことも切り開けないという意味から、地元の高校を希望していることも含めて、理解してもらえるよう、受験先の高校長に伝えてください。