福祉新聞から転載 |
原則分離をあいまいにして特別支援教育を進めないで――教育の欠格条項をなくす会準備会はシンポジ ウム「分け隔てられること のない社会を目指して」で、教育のノーマライゼーションを訴えた。
講演した大谷恭子弁護士によると、国際的には、障害者の社会参加は「障害者が社会に加わる」から「障害者が加わり社会が変わる」方向にある。
1 9 9 3年に国連で、障害者の普通学校通学に政府が責任を持つよう明記した「障害者の機会均等化に関する蟇準規則」が採択された。94年にユネスコ(国連教育科学文化機関)で、すべての子どもを普通学校に在籍させる統合教育を原則とするよう各国政府に勧告したサラマンカ宣言が採択された。
しかし日本では、学校教育法施行令第5条の1で普通学校就学予定の子どもを盲・ろう・知的障害・肢体不自由・病弱以外の人と規定している。大谷氏は、こうした障害者を強制的に分離する条文を、欠格条項と指摘した。
第5条の2は、特別の事情があれば「認定就学者」として普通学校就学を市町村教育委員会が認めるよう定めている。文部科学省は、特別の事情を@障害に対応した学校整備A指導面で専門性の高い教員配置――と通知した。これでは、車いす利用者ならスロープの有無で就学の可否が決まってしまう。
文科省は、昨年度の全国の認定就学者数を把握してすらいない。東京都教育委員会も実数を把握しておらず、一人もいないと推測する。大谷さんは「原則分離をやめ、国・自治体・社会の責務で統合教育を保障すべき」と強調した。
34才から定時制高校に車いすで通っ た野島久美子さんは、通っているうちに駅や学校のバリアフリーが進んだと話した。
また、小学校教員だった神本美恵子参院議員は、自閉症児を担任した際に、「一緒が当たり前の関係の中で共に学ぶと確信した」と言う。
準備会の木村俊彦さんは、「特別な学校・通所施設・入所施設を利用するうち、障害者に敷かれたレールはどんどん太くなる。分けられて育ち大人になったら『共に生きよう』といっても、簡単にいかない。共に育つことなくして共に生きる社会はあり得ない」と語った。(福祉新聞 6月7日号)