福祉新聞から転載
障害児教育分け隔てなく  ともに育つ環境を
基本法改正案に付帯要望 教育の欠格条項をなくす会準備会

 「教育のノーマライゼーションなくして社会のノーマライゼーションはない」。教育の欠格条項をなくす会準備会は1 0曰、1 2曰に国会に提出された障害者基本法改正案に、統合教育に関連した付帯決議を求め、衆参両議員室を訪問した。
 求めているのは、基本的理念の条文「障害者があらゆる活動に際して参加する権利を有する」を一層鮮明にし「分け隔てられることなく」参加に取り組むこと。一九九四年にユネスコ(国連教育科学文化機関)で採択されたサラマンカ宣言に基づき統合教育を原則とし、就学には本人・保護者の意志を尊重すること。さらに、教育環境の整備に最大限努力すること。
 準備会の木村俊彦さんは「子ども時代に分けられて育った人が、大人になってから障害者とともに生きようと言われても、簡単にはいかない。障害者を分けないでともに育つ経験を積み重ねる。そうしなければ、ノーマライゼーションは進まない」と語る。
 要望活動中の集会では、民主党の堀利和参院議員と石毛えい子衆院議員が、改正案の教育の項目に「国と自治体は、障害のある子ども・ない子どもとの交流と共同学習を檮極的に進めて 相互理解を促進する」との条文が新たに盛り込まれた経緯を説明。与党案では、分離教育を前提とする「交流教育の推進」の文言だったため、「交流教育」を「交流と共同学習」に修正したという。
 両氏は、統合教育に抵抗する文部科学省の影響が大きかったことも指摘した。堀氏は「付帯決議に統合教育に関する文言を盛り込み、将来の実施に向けたい」、石毛氏は「教育の場を含め、どの年齢でも地域で暮らす障害者と出会うことを当たり前にしたい」と語った。
 93年に国運で採択された「障害者の機会均等化に関する基準規則」では、障害者が普通学校に通えるよう政府が責任を持つことが明記された。サラマンカ宣言では、普通学校にすべての子どもを在籍させるインクルーシブな教育(統合教育)を原則とするよう各国政府に勧告した。
 曰本でも、全曰本手をつなぐ育成会をはじめ統合教育を求める声は強いが、実態は国際社会の潮流とかけ離れている。障害者が普通学校に通うことは例外と位置づけられ、文科省は普通 学校に通つ障害者数さえ把握していない状況にある。基準規則の採択から十年後の2 0 0 2年に改正した学校教育法施行令は、第5条で小中学校への入学予定者を盲者・ろう者・知的障害者・肢体不自由者・病弱者以外の人と規定し、第23条の3で盲・ろう・養護学校に就学させるべき「心身の故障の程度」を示している。 (福祉新聞 5月17日号)